連載「“国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか」第33回

病院に行かずに腰痛を治す! <遠隔治療>で腰痛を改善する秘訣は?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

腰痛も遠隔治療で治す時代に!?

 遠隔サービスは、医療機関が提供するものだけにとどまらず、一般の企業も参入している。

 たとえば最近、<腰痛の改善>を目指す「ポケットセラピスト」というサービスが誕生した。

 これは、株式会社バックテックが運営するサービスのひとつ。、取締役の福谷直人氏は理学療法士の資格をもち、京都大学の博士課程を卒業した腰痛の研究者でもある。

 この「ポケットセラピスト」のサービスは、オンラインで365日24時間体制で腰痛の相談に対応する。オンライン上で簡単な質問に答えると、ユーザーの<腰痛のタイプ>が示されて、どのような対策を行うべきかを専門家に指導してもらえる。

 また、定期的にチャットによるアドバイスを受けて、動画で適切なエクササイズを処方してもらうことも可能だ。

 ユーザーは個人だけでなく、法人会員を受け付けているのも大きな特徴だ。デスクワークが多いビジネスパーソンにとって腰痛は、常に上位にくる悩みの種である。

 私がこのサービスに刮目した点は、遠隔サービスで改善ができないと判断された場合、<状態に合わせた治療院を紹介する>ところだ。

 腰痛は、遠隔サービスで対応できることもあるが、それだけでは難しいのが現実。それだけに、このように遠隔サービスと通院での診療をうまく連携していくことは、とても重要なことだ。

 腰痛は直接、診断・治療を受けることが重要だが、「腰痛の正しい知識」や「患者や利用者のマネジメント」も腰痛改善のポイントとなる――と最近の研究で報告されている。

 医療機関に定期的に通うことが難しくても、遠隔サービスによって、腰痛に関する知識をはじめ、普段の姿勢や身体の使い方、日々に行うエクササイズの確認などをスマホで管理してもらうのも有効だろう。うまく通院と遠隔サービスを組み合わせることで、腰痛に悩む人が減るかもしれない。

 今後、腰痛に対する遠隔サービスの改善の報告・研究が報告されるだろう。期待のこの分野に注視していきたい。
(文=三木貴弘)

連載「国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか」バックナンバー

三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

三木貴弘の記事一覧

三木貴弘
バナー1b.jpeg
HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法
世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』

毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

nobiletin_amino_plus_bannar_300.jpg
Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…

内田千秋

(医)スターセルアライアンス スタークリニック …

竹島昌栄

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子