低糖質「大豆めん」ブームの本当の課題とは?

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
0392v1.jpg

徹底した低糖質で注目が集まるiFoodの低糖質「大豆めん」

 日々の食事に気を使い、糖質やたんぱく質に対する関心が高い層で、昨年春ごろから話題となっている大豆麺。すでに複数のメーカーが大豆麺を次々と発売し、昨年8月には大手食品メーカーのキッコーマンが大豆麺市場に参入したことで大きな話題になっている。そこに徹底した低糖質と美味しさを打ち出した新しい「大豆めん」がこの春登場した。どうして大豆麺なのか、深堀りしてみた。

「食事には気を付けてくださいね」。
糖尿病やがん、生活習慣病などで医師から何気に言われるこんな言葉で困惑した経験はないだろうか。それではいったい何を食べればいいのだろう、何に気を付けたらいいのかと。

 基本的には食後の血糖値の急激な上昇を抑えるためには、血糖値を上げやすいご飯や麺類、パンなどの主食ばかりを多めにとるのではなく、食物繊維の多い野菜や海藻、きのこなど、さらに肉や魚、大豆・卵などのたんぱく質をとるのがおすすめと言われている。簡潔にまとめるとそのポイントは3つ。
①糖質が少ない
②食物繊維が多い
③高たんぱくである

21世紀は世界的な大豆食時代となる⁉

 この3つのポイントを見事にクリアするある食材が、この30年間で国際的に急速に注目されてきた。それが【大豆】だ。アジアや日本では古くから食されてきた基本食材だが1990年にアメリカのアメリカ食品医薬品局(FDA)発表した「デザイナーフーズ計画」で、がん予防に効果があると考えられる約40種類の食品のトップレベルに位置付けられたことをきっかけに、にわかに注目を浴び始めた。

 さらにこの十数年、従来の動物由来の食品や飲料製品の消費に対する人々の懸念が高まり、COVID-19の発生などが追い風になって先進国の消費者は、ビーガンベースのタンパク源を好むようになり、大豆由来食品がますます好まれるようになってきている。

 ちなみに大豆由来食品の世界市場は2020年に23,4億7,678万米ドルとなり、予測期間(2021年~2026年)には年平均成長率6.45%で成長すると予測されている。国内でも豆乳の生産量が、2020年まで10年連続で過去最高を更新している事実もこうした消費者の嗜好を裏づけている。

大豆に含まれる多様な成分と健康機能

 世界の長寿地域で共通して食べられている大豆は、ほとんどの生活習慣病や糖尿病やがんなどの予防が期待できることや、高血圧や高脂血症、更年期障害、骨粗しょう症などの症状を抑える効果があるといわれている。さらには認知症予防の可能性まで指摘されているのだ。

 大豆が万能食とされる理由は、血糖値を上げにくい代表的な低GI(グリセミック指数)の食品だという点。さらに豊富な食物繊維を含んでいること。例えば食物繊維が多い野菜として知られるゴボウには100gあたり6.1gに対し、ゆでた大豆にはさらに多い8.5gの食物繊維が含まれている。

 良質な食物性たんぱく質として知られる大豆たんぱくは、体内で作り出せない9種類の必須アミノ酸の含有率を数値化した「アミノ酸スコア」で比較すると、牛肉・豚肉などの肉類、アジ、サケなどの魚と同じく100点満点となっている。つまりすべての必須アミノ酸をバランスよく含んでいるということになる。

 さらによく大豆で取りあげられるイソフラボンという成分は、非常に多くの健康増進効果を持っている。例えば骨粗しょう症や心筋梗塞などの予防効果も報告されている。

血糖値の抑制効果を持つ大豆食

 糖尿病に関しても大豆の効果が注目されている。米国のマサチューセッツ大学の研究で、イソフラボンを豊富に含む大豆食品を食べると、糖尿病と心臓病のリスクが減少することが明らかになった。大豆食品を食べると、コレステロール、血糖値が下がり、糖尿病の人では高血糖状態の改善が期待できるということらしい。
出典

 日本でも国立国際医療研究センターなどによる大規模研究「JPHC研究」でも、日本人6万人を対象に5年間追跡した調査で、大豆食によって肥満や閉経後女性で2型糖尿病のリスクが低下することが示されている。

巷で起きている大豆麺ブームの課題

 大豆を原料とする植物性食品の二大潮流は、大豆ミートの開発と、大豆を用いた麺の開発だ。国際的には大豆ミートが注目されているが、日本では大豆麺のブームも巻き起こっている。ただ課題がないわけではない。大豆麺と称しても小麦が含まれていたり、同封されるスープには安全性の疑われる人工甘味料や人工着色料が使われている、原料の大豆の産地が明記されないなど不安材料も少なくない。

 この3月に発売されたiFood株式会社の低糖質「大豆めん」は、こうした課題をクリアする商品として新たに市場参入し、健康に配慮した「療養食」のレベルまで引き上げているとしている。

 一般的に低糖質の食品は、糖質のカットが中途半端で他の食品の混合も多いが、「大豆めん」は発がん性の疑いのある人工甘味料、人工着色料などの添加物を一切使わず徹底的な糖質カットを実現させ、3種類あるスープも味にこだわりつつGABA成分を添加しつつ限界まで糖質をカットしています。最も糖質の少ないスープで食べると1食あたり糖質2.1gという極限までの低糖質を実現した主食用商品となっている。

 他の大豆麺と差別化を図っている点は、麺の湯切りをきっちりと推奨していることだ。大豆麺を茹でると大量の糖質が湯に溶け出すが、その茹でた湯をそのまま使う商品が少なくない。それでは大量の糖質を摂取することになってしまう。「大豆めん」はその茹でた湯をそのまま使わずしっかりと湯切りすることで、低糖質に徹底的にこだわっている。

 糖質制限やグルテンフリー、高タンパク質の食事を意識している人にとって、小麦以外の原料で作られた代替麺は、主食の新たな選択肢として選択される傾向が強くなってきた。その食習慣が定着していくためには、当然のことながら安心で安全、美味しい製品でなければならない。その点に各メーカがどこまでこだわっているのかが今後の商品選択の基準になってきそうだ。

※iFoodの低糖質「大豆めん」
https://ifood-shop.jp/shopping/lp.php?p=1
(文=編集部)


バナー1b.jpeg
HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法
世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』

毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

nobiletin_amino_plus_bannar_300.jpg
Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…

内田千秋

(医)スターセルアライアンス スタークリニック …

竹島昌栄

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子