インタビュー「自宅や職場からの遠隔診察を可能に」第1回:新六本木クリニック・来田誠院長

ひきこもりや不登校、社交不安障害もケア~遠隔診察を可能にした「オンライン精神医療」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
01_470409893.jpg

ひきこもりや社交不安障害でも安心して受診できる(shutterstock.com)

 「5大疾病」のひとつとされ、もはや誰でもかかりうる病気となった「精神疾患」。その治療は長い期間にわたることが多いため、通院には負担がかかるのが常だった――。

 そんな精神科の診療をオンラインで行なうことを可能にし、通院負担を軽減する取り組みを始めたのが、2016年1月に開院したばかりの新六本木クリニック(東京都港区)だ。画期的なオンライン診療の詳細について、院長の来田誠医師に聞いた。

オンライン診療が可能になったきっかけは?

――オンライン診療を始めようと思ったきっかけは何ですか?

 私はこのクリニックを開く前は、奈良県の診療所で院長をしていました。児童や思春期の患者さんが多かったのですが、ひきこもりや不登校で、途中から診察に来られなくなってしまい、治療が中断してしまう患者さんが少なくありませんでした。

 一方、仕事で帰りが遅くなってしまい、診療時間に間に合わない患者さんもいました。また、そもそも医療機関を受診するタイミングが遅く、「ここまで悪化するより前に、もっと早く来てくれれば」と思う患者さんも少なくありませんでした。

 やはり通院というのは煩わしさもあるものなので、<やめる理由>が何かあると、どうしても来なくなってしまう。できるだけ通院のハードルを下げる仕組みとして、オンライン診療の可能性を探っていました。

――そのオンライン診療が可能になったは、昨年の厚生労働省の<ある通達>がきっかけだったそうですね。

 平成27年8月に出された「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」という通達です。これは平成9年に出された通達の改正なので、まずは平成9年の通達について説明します。

 当時はインターネットも十分発達しておらず、主にテレビ電話を通した遠隔診療を想定していました。この通達では、遠隔診療ができるのは「離島」や「へき地」で、なおかつ症状が安定している患者に限っています。適用できる病気も示されていますが、そこに精神科は入っていませんでした。

 ところが昨年8月の通知では、これらはあくまでひとつの例示に過ぎないことになりました。この通達を受けて、医療システムの提供を行なっている旧知の会社「メドレー」に遠隔診療システムの開発についてアドバイスを行いながら、開院に向けて動き出したのです。

里中高志(さとなか・たかし)

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

里中高志の記事一覧

里中高志
睡眠障害治療の新たな幕開け!個人に必要な睡眠の「量」と「質」を決める遺伝子を探せ
インタビュー「睡眠障害治療の最前線」後編:筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構・佐藤誠教授

前編『『人間の「脳」は7時間程度の睡眠が必要! 本当のショートスリーパーは100人に1人程度!?』』

ひとくちに睡眠障害といっても、さまざまな症状がある。1990年代後半から脳内に眠気を誘う「睡眠物質」を探す研究にスポットライトが当たり、2018年からは睡眠の質と量を決める遺伝子の解析も進められている。今回は睡眠障害について、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の佐藤誠教授に話しを聞いた。

Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

医療法人社団 三喜会 理事長、鶴巻温泉病院院長。…

鈴木龍太

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

郡司和夫

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリ…

横山隆