連載「“国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか」第31回

腰痛予防にランニングは効果あり!椎間板が健康的な状態に

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ランニングが「椎間板に垂直方向の負荷を適度にかける」

 なぜこのようなことが生じたのかは推測の域をまだ出ないが、研究者は「椎間板に垂直方向の負荷を適度にかけることができているからではないか」と述べている。

 一般的には「椎間板に負荷をかけることはよくない」とされてきたが、ランニングのように椎間板に「垂直に負荷」がかかることで、椎間板を鍛えることができるかもしれないというのだ。

 実際、骨の場合も適度な垂直方向の負荷が、骨粗しょう症に有効――という報告がある。それと原理は似ているのかもしれない。

 「走る」ことには、さまざまなメリットがあることはすでに証明されている。そのうえ腰痛の原因となる椎間板も鍛えることができるとわかれば、これはもう走るしかない。

 ただし、正しいフォームで適切に走る、ということが前提であることをお忘れなく。

Belavý, D. L. et al. Running exercise strengthens the intervertebral disc. Sci. Rep. 7, 45975; doi: 10.1038/srep45975 (2017).
Adams, M. A. & Hutton, W. C. Prolapsed intervertebral disc. A hyperflexion injury 1981 Volvo Award in Basic Science. Spine 7, 184–191 (1982).
Schmidt, H., Heuer, F. & Wilke, H.-J. Dependency of disc degeneration on shear and tensile strains between annular fiber layers for complex loads. Med. Eng. Phys. 31, 642–649 (2009).

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三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

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