連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第32回

向精神薬「アモキサピン」の大量服用による自殺を考える〜患者・家族・治療医に求められる対応とは?

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精神科で治療している患者さんの過量服用を防ぐために

 

 精神科で治療している患者さんの過量服用を防ぐために周囲の人々は何をしたらいいか?

①薬の服薬管理は家族に任せること
 親、配偶者、恋人など同居している信頼のおける家族にゆだねること。家族も患者さんの精神状態を十分把握して、一人で過量服用させないように厳重に管理すること。しかし、多くの過量服用患者は一人暮らしであることが大きな問題となる。 

②精神科医などは一度に多種大量の処方を慎むこと 
 私が経験した中毒例では、患者さんが過量服用のリスクの大きいことが予想される家族構成であることを把握せず、漫然と長期間の処方を繰り返しているケースが多く認められた。特に何度も同じ薬を過量服用を繰り返す、いわゆるリピーターでは、その傾向が顕著であったので十分に留意することが必要である。 

③精神科医などはできるだけ副作用の少ない、より安全な処方を心がける
 治療効果との関係で、薬剤の選択は難しい面もあるが、過量服用歴のある患者さんでは、考慮すべきと思われる。私もリピーターで、中毒情報を精神科医に報告したにもかかわらず、長期間同じ内容の処方を繰り返されていたケースを少なからず見かけた。 

④家族が患者さんへの愛情と病気に対する理解を深めること
 家族が患者さんの苦しみ、孤独に寄り添うことが必要である。すると患者さんも自分自身を見つめなおすことが可能となるであろう。 
 
連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」バックナンバー

横山隆(よこやま・たかし)

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリニカルトキシコロジスト、日本腎臓学会および日本透析学会専門医、指導医。
1977年、札幌医科大学卒、青森県立病院、国立西札幌病院、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター助手、札幌徳洲会病院腎臓内科部長、札幌東徳洲会病院腎臓内科・血液浄化センター長などを経て、2014年より札幌中央病院腎臓内科・透析センター長などをへて現職。
専門領域:急性薬物中毒患者の治療特に急性血液浄化療法、透析療法および急性、慢性腎臓病患者の治療。
所属学会:日本中毒学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内科学会、日本小児科学会、日本アフェレシス学会、日本急性血液浄化学会、国際腎臓学会、米国腎臓学会、欧州透析移植学会など。

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難治性むちうち症からなぜ多くの不定愁訴がおきてしまうのか?
難治性のむちうち症を改善 後編 東京脳神経センター 整形外科・脊椎外科部長 川口浩医師

前編『画像診断できない難治性のむちうち症を独自の治療法で改善』

原因不明で治療法がなく多くの患者さんが回復をあきらめていた難治性のむちうち症。東京脳神経センターで進む独自の治療で、めまい、動機、吐き気などの全身症状やうつ症状などの不定愁訴が大幅に改善しているという。その具体的な成果についてお話を伺った。

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医療法人社団 顕歯会 デンタルみつはし 理事長…

三橋純

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授…

西郷和真

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリ…

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