連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第27回

ロシアで49名が死亡! 「メタノール」使用の入浴剤を<酒代わり>に飲んで起きた悲劇

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メタノール入りの入浴剤1ボトル25mlがウオッカの半値(Akimov Igor / Shutterstock.com)

 ロシアのシベリア地方にあるイルクーツクで、サンザシ(山査子)の香りがすると表示されたメタノールを使用した入浴剤を酒代わり飲んだ49名が死亡したという(時事=AFP12月20日付)。

 入浴剤は1ボトル25mlが40ルーブル(日本円で約76円)と、ウオッカの半値で購入でき、かねてより貧困層を中心に飲酒(?)の習慣が浸透していたそうだ。また入浴剤のみならず、化粧品として売られているメタノール入り製品を飲んでいたケースも多数あったとのことだ。

 事態を重視したロシアの首相は、メタノールが含まれているこれらの製品が安易に販売されている状況に対して厳しい対応を求めた。
 

戦後日本でもメタノール入りの酒で1000名以上が死亡

 メタノールは工業用品の溶媒やアルコールランプの燃料、洗浄剤、農薬、ウインドーウオッシャー液などに広く用いられている。中毒量は、わずか20ml程度の服用で、もし無治療であれば失明する恐れが大きく、致死量は80ml以上とされる。

 飲用後、数時間は吐き気、嘔吐、腹痛などの消化器症状が中心で、酩酊、傾眠傾向となる。6時間後程度で目がかすむ、昏睡、呼吸苦などが出現する。重篤な場合は失明の危険がある。

 諸外国では、過去にイタリアやインドネシアで、ワインに入っていたメタノールにより多数の死亡例を出しており、ケニアでも同じくメタノールの入った密造酒により100名以上の死者を出した事件があった。わが国でも、終戦後、メタノール入りの酒が販売され、1000名以上の死亡し、失明した人も数多く発生した。

 以上のように、エタノールの代わりにメタノールが混入された酒類を飲んでの惨事が報告されたが、近年ではロシアで起こったようなケースは非常に少なくなっている。

横山隆(よこやま・たかし)

小笠原クリニック札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリニカルトキシコロジスト、日本腎臓学会および日本透析学会専門医、指導医。
1977年、札幌医科大学卒、青森県立病院、国立西札幌病院、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター助手、札幌徳洲会病院腎臓内科部長、札幌東徳洲会病院腎臓内科・血液浄化センター長などを経て、2014年より札幌中央病院腎臓内科・透析センター長などをへて現職。
専門領域:急性薬物中毒患者の治療特に急性血液浄化療法、透析療法および急性、慢性腎臓病患者の治療。
所属学会:日本中毒学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内科学会、日本小児科学会、日本アフェレシス学会、日本急性血液浄化学会、国際腎臓学会、米国腎臓学会、欧州透析移植学会など。

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テストステロン(男性ホルモン)の存在に着眼し、AGA(男性型脱毛症)治療、男性皮膚治療、男性更年期、前立腺がんのサポート、男性不妊など、男性の外見や内面の健康に関わる様々な治療を独自の視点から行うメンズヘルスクリニック東京(東京・丸ノ内)の小林一広院長。第3回目は「男性妊活・男性力」について。
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