連載「救急医療24時。こんな患者さんがやってきた!」第6回

頭部打撲でERに搬送された患者が検査拒否で帰宅! 翌朝に再度搬入されて緊急手術!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

頭蓋骨骨折と急性硬膜外血腫が認めら緊急手術

 翌日の早朝、この患者の反応がおかしいということで、救急車で再度搬入された。奥さんに話を聞くと、帰宅後はすぐに就寝したが、朝になっても起きてこないので起こしにいくと反応がおかしいため救急車を呼んだとのことである。救急搬入時、患者の意識レベルは昏睡で、至急で頭部単純レントゲンと頭部CTを撮ると、頭蓋骨骨折と急性硬膜外血腫が認められた。患者はそのまま緊急手術となった。

 奥さんはERドクターに夜中と同様に「すいません」と言いながら何度も頭を下げていたが、ERドクターもこの経過に対して責任を痛感していた。

 後の祭りではあるが、急性アルコール中毒による頭部打撲は、鎮静してでも(眠らせてでも)頭の検査(頭部単純レントゲン、頭部CT)を行わなければならなかったのである。理屈では分かっていながら現実的にできなかったことが悔やまれる一瞬である。

連載「救急医療24時。こんな患者さんがやってきた!バックナンバー

河野寛幸(こうの・ひろゆき)

福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多トレーニングセンター理事長。
愛媛県生まれ、1986年、愛媛大学医学部医学科卒。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医。医学部卒業後、最初の約10年間は脳神経外科医、その後の約20年間は救急医(ER型救急医)として勤務し、「ER型救急システム」を構築する。1990年代後半からはBLS・ACLS(心肺停止・呼吸停止・不整脈・急性冠症候群・脳卒中の初期診療)の救急医学教育にも従事。2011年に一般社団法人・福岡博多トレーニングセンターを設立し理事長として現在に至る。主な著書に、『ニッポンER』(海拓舎)、『心肺停止と不整脈』(日経BP)、『ERで役立つ救急症候学』(CBR)などがある。

河野寛幸の記事一覧

河野寛幸
がんになってもあきらめない妊活・卵巣凍結 費用は卵巣摘出に約60万円、保管は年間10万円
インタビュー「がんでも妊娠をあきらめない・卵巣凍結」後編・京野廣一医師

がん患者への抗がん剤による化学療法は妊孕性(妊娠のしやすさ)を低下させる。がんにより妊娠が難しくなる患者を支援するため、2016年4月に「医療法人社団レディースクリニック京野」が、治療前に卵巣を凍結して保存しておく「HOPE(日本卵巣組織凍結保存センター)」を設立すると発表した――。医療法人社団レディースクリニック京野理事長の京野廣一医師に卵巣凍結の仕組みについて訊いた。
前編『「がん」になっても妊娠・出産をあきらめたくない女性のための「卵巣凍結」とは?』

大阪市内のクリニック勤務。1987年 産業医科大…

吉田尚弘

小笠原クリニック札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認…

横山隆

シカゴ大学医学部内科・外科教授兼個別化医療センタ…

中村祐輔