大酒飲みには脳内出血・くも膜下出血のリスクが(shutterstock.com)
あなたは「虚血性脳卒中」と「出血性脳卒中」の違いがわかるだろうか?
前者は血栓や動脈硬化による脂肪の沈殿物が動脈に詰まり、十分な血液と酸素が供給されないために生じる脳組織の一部の壊死。いわゆる「脳梗塞」と呼ばれるもの。
一方、後者は読んで字の如し、脳の内部で起きる「脳内出血」と、脳を覆う組織の内と外の層との間で起きる「くも膜下出血」の2つを主に指す。
「酒は百薬の長」と考えて長生きを願う愛飲家の方々は、上記の前提を踏まえつつ、次の知見を「肴」に健康的で美味しいお酒をお愉しみいただきたい。
<1日2~4杯超>で「脳卒中」リスクがアップ
少量あるいは適量の飲酒習慣は「虚血性脳卒中」のリスク低減に繋がる可能性がある。しかし、大量の飲酒習慣に浸されている人の場合、「虚血性脳卒中」ばかりか「出血性脳卒中」も含む両方のリスクを抱え込む事態となる――。
そんな飲酒量と脳卒中リスクをめぐる明暗分岐の研究報告が、11月24日の『BMC Medicine』(オンライン版)に掲載された。スウェーデン・カロリンスカ研究所疫学准教授であるSusanna Larsson氏らによる寄稿論文だ。
米国脳卒中協会(ASA)の公表では、脳卒中の約87%を「虚血性」が占め、残り13%が「出血性」に該当するという。つまり、毎日の大量飲酒の悪習慣を重ねれば、そのリスクを100%背負うわけである。
Larsson氏らは信頼に値する25件の先行研究と、スウェーデン国内の全国規模で実施されたデータを詳細に解析。その結果、1日2杯までの飲酒習慣をもつ層の場合は「虚血性脳卒中」のリスク低減が読み取れた。
同時に「出血性脳卒中」のリスクには、格別の影響を及ぼさないという傾向も認められたそうだ。
問題なのは多量~大量飲酒と定義される層への健康被害で、前述の如く、彼らには両方の脳卒中リスク上昇が読み取れた。しかも「多量・大量」の基準が<1日2~4杯超>と知れば、他人事ではないと背筋を伸ばす方も少なくないはずだ。