連載 「救急医療24時。こんな患者さんがやってきた!」第2回

産後うつで搬送されてきた母親の胃から出てきた“とんでもないモノ”とは?

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

体内から取り出されたのはなんと2本の枝

 「何かある! 異物カンシを用意して!」

 リーダー医師のその言葉に、内視鏡室に緊張感が走る。異物カンシでそれを取り出すと、なんと直径約5mm、長さ約20cm、筒状の木の枝が出てきた。おまけに、その筒状の木の枝には、クリスマスツリーのようにいくつもの小さい枝が付いている。

 木の枝が口から出てきた時、内視鏡室にどよめきが起きた。医師も看護師もみんなの表情が変わった。次にリーダー医師は、この木の枝による食道損傷がないかを調べるために、再度スコープを食道内に入れた。幸い食道内には損傷はなかった。

 そのままスコープは胃の中に入っていった。するとどうだろう、胃の中にも異物があるではないか! 今度も木の枝のようである。これも異物カンシで取り出した。今度は直径約1cm、長さ約10cmの筒状の木の枝である。

 前回以上のどよめきが起きた。女性が言うように2本も入っていたこと、そして、こんなにも太い物が入っていたこと、その二重の驚きのためである。1つならまだしも2つも出てくるとは誰が予想しただろうか。

 信じられないことであるが、人間はこんなものが丸呑みできるのである。結局、患者は咽頭損傷のため耳鼻咽喉科に入院し、子供は問題なく帰宅となった。

 この患者が、木の枝を飲み込むことで死ぬことができると思ったのか、どのようにして死ぬつもりだったのか、それは知る由もない。しかし、こんなことがありうるということには驚かされた。

 複雑化した現代社会の中で、出産後の育児は以前には考えられなかったような精神現象を母親に起こしていることは事実のようである。


連載「救急医療24時。こんな患者さんがやってきた!バックナンバー

河野寛幸(こうの・ひろゆき)

福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多トレーニングセンター理事長。
愛媛県生まれ、1986年、愛媛大学医学部医学科卒。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医。医学部卒業後、最初の約10年間は脳神経外科医、その後の約20年間は救急医(ER型救急医)として勤務し、「ER型救急システム」を構築する。1990年代後半からはBLS・ACLS(心肺停止・呼吸停止・不整脈・急性冠症候群・脳卒中の初期診療)の救急医学教育にも従事。2011年に一般社団法人・福岡博多トレーニングセンターを設立し理事長として現在に至る。主な著書に、『ニッポンER』(海拓舎)、『心肺停止と不整脈』(日経BP)、『ERで役立つ救急症候学』(CBR)などがある。

河野寛幸の記事一覧

河野寛幸
バナー1b.jpeg
HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法
世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』

毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

nobiletin_amino_plus_bannar_300.jpg
Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…

内田千秋

(医)スターセルアライアンス スタークリニック …

竹島昌栄

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子