腰痛と一緒に下半身がしびれたら?(shutterstock.com)
腰痛とは、文字通り「腰が痛くなる」状態だが、実は腰以外の部分が痛むことがある。たとえば、下半身のしびれや痛みだ。それが腰痛と関係しているケースもある。
さらに、腰自体が痛くて、下半身まで痛みが伸びているように感じる場合もある。腰自体に痛みはなくても、下半身(ふくらはぎなど)に痛みや違和感などがある場合も注意が必要だ。
そのような下肢のしびれを伴う腰部の代表的な特異的腰痛(特異性と非特異腰痛については連載の第1回を参照)に、「脊柱管狭窄症」と「椎間板ヘルニア」がある。
この2つは、病態や原因は違うのだが、共通している項目がある。それはどちらも、下半身へのしびれや痛みが出てくるということだ。
脊柱管狭窄症は、文字どおり脊柱の中にある神経の通り道が狭くなり(狭窄し)、それによって痛みやしびれが起こる。“通り道”が狭くなることで、そこにある神経が圧迫されて、神経に刺激が入ってしまう。
その神経は下肢へと伸びているので、その部分に支配されている個所(ふくらはぎなど)が、しびれや痛みを感じるというわけだ。
また、椎間板ヘルニアは、脊柱の間にある椎間板というクッションが何らかの原因で飛び出したり、変形してしまい、その飛び出した椎間板が神経に触ってしまうために、下半身にしびれや痛みを感じる。
姿勢や動作で悪化したり楽になったり
このように、脊柱管狭窄症も椎間板ヘルニアも、メカニズムは違えど、骨や椎間板に神経が当たってしまい症状が出てくる疾患だ。しかし、同じように腰より下にしびれや痛みが出る2つの疾患だが、姿勢や動作によって悪化したり楽になったりする。腰痛と姿勢(動作)はとても重要な関係にある。
脊柱管狭窄症は、腰を反ることによって、しびれや痛みが生じることが多い。脊柱管は、腰を曲げることにより脊柱管が広がり、反ることによって狭くなる構造になっている。よって、腰を反ることで脊柱管がさらに狭くなり、神経に当たりやすくなる。
逆に腰を曲げるようにすると脊柱管が広がるので、脊柱管狭窄症を患っている人は楽になることが多い。
一方、椎間板ヘルニアは、腰を前に曲げることにより症状が悪化してしまう。それは腰を前に曲げることで椎間板が後ろに移動してしまい、それによってはみ出した椎間板が神経を圧迫することになるからだ。
腰を反ると椎間板は前に移動するので、そこには神経は通っていないので、椎間板が前にはみ出したとしても関係なく、結果的に症状(下半身へのしびれなど)は軽減する。
このように姿勢によって、痛みやしびれが悪化したり、軽減したりする。このことからも姿勢(動作)と腰痛は切っても切れない関係であることがわかる。