大動脈破裂胸腔内出血で急死した俳優の阿藤快さん(写真は公式ブログより)
先日、俳優の阿藤快さん(享年69歳)が急死した。死因は「大動脈破裂胸腔内出血」とのこと。体内で最も太い血管である大動脈にできた瘤(こぶ)が破れる、危険な疾患だ。大動脈瘤が破裂したら、その死亡率は80〜90%にも上るといわれている。
動脈瘤は、いったんできてしまうと、自然に縮小することはない。治療せずに放置しておくと、瘤の壁にできた血塊や動脈硬化片が剥がれて血管内に流れ出し,動脈の末端に詰まって障害を起こしてしまうこともある。
また、当サイトで紹介したとおり、突然に解離(動脈壁の内膜が裂ける)することもある。
「病院着前に20%以上が死亡! 芸能人やミュージシャンが次々に発症する大動脈解離とは?」
症状には、胸部の大動脈瘤なら咳、血痰、胸痛、背中の痛み、腹部なら腰痛や腹痛などがみられる。ただし、この段階は破裂する危険性が高まっている状態で、大動脈瘤が大きくなって破裂すると急死の危険性がある。
マッサージでは治らない危険な痛み
このように、大動脈瘤は背中や腰などの痛みと深い関係がある。実際に阿藤さんも亡くなる直前まで、背中の傷みを和らげようと、マッサージを受けていたことが報じられた。
当然ながらこの痛みは、実際に筋肉に何らかの問題が起きているわけではない。「関連痛」と呼ばれる内臓から引き起こされたものだ。
関連痛とは、疾患の部位とは違うところが痛むことだ。簡単にいえば、神経が内臓の痛みを勘違いして表面の皮膚に伝え、そこが痛むことをいう。たとえば、尿管結石になると腰に激しい痛みが起きたり、心臓に問題があれば左肩に痛みを感じたりする。これは、関連痛によるものだ。
大動脈瘤などの深刻な疾患の可能性がある痛み、ということでもある。もし、大動脈瘤が原因による腰の痛みを改善しようと、マッサージを受けたら破裂を招く恐れもある。最悪の場合、死に至ってしまう、ということになりかねない。
では、その痛みが、単なる腰痛なのか、それとも大動脈瘤などの深刻な疾患なのは見分ける方法はどのようなものにしたらよいのだろうか。