男性の更年期障害の見極めは、女性と比べると難しい。なぜならば、女性と違って、テストステロンの減少は比較的に緩やかで、20代をピークとして加齢とともにゆっくりと低下していくため、症状の現われ方がわかりづらいからである。加えて、女性には「閉経」という明確な体の変化が存在するが、男性にはそれがない。
特に、50歳前後の働き盛りの年齢は、職場では責任ある立場について疲労が蓄積し、家庭では夫婦関係がギクシャクしたり、親の介護、将来に対する不安などでストレスが溜まりやすい。このため、心身の不調を、単に過労やストレスによるものだと思い込んで、やり過ごしてしまうことがほとんどなのである。
しかしながら、活力のホルモンであるテストステロンの低下は、男性のバイタル(生命力)に大きな影響を与えている。中高年男性のうつ病による自殺が増加している背景には、かなりの割合でLOH症候群が潜んでいるという指摘もある。症状が明確に現われず、本人の自覚も乏しいだけに、実は男性の更年期障害の方がサインを見逃すと厄介なのである。
<編集部より>
今年1月、コント赤信号の「リーダー」渡辺正行氏が、かつて男性更年期障害によるうつ病だと診断されて薬を服用していたことを告白して話題になった。いまはすっかり回復したという。女性にとっても男性にとっても、ホルモンのバランスがその健康を大きく左右するようだ。