更年期は人生のターニングポイント!shutterstock.com
更年期を、「年が更(ふ)ける時期」だと思っている人はいないだろうか?
更年期とは、本来、「年が更(あら)たまる時期」という意味である。
ギリシャ語で「はしごの横木」を意味するklimacterという言葉に由来して、「女性の転換期」を英語でclimactericと呼ぶようになった。この言葉は「階段」という意味をもっており、更年期の語源はここに由来している。人生という階段を登っていく。登るときは元気よく登っていいけれども、降りる時には十分に注意して降りてください、という意味である。
つまり、更年期とは、ターニングポイントよりも、もっと深い意味合いが込められた人生の転換期を意味する言葉なのである。これまでの生活習慣を見直し、老後を健康に過ごすために天から与えられた準備期間なのだと、前向きに考えてこの時期を乗り切っていただきたい。人生をマラソンに例えるならば、30km地点でラストスパートをかけるために作戦タイムをとるゆとりが必要な時期、それが更年期である。
更年期に現われる諸症状は、いわゆる「病気」ではない。いわば人間の体が加齢と共に変化していく自然の流れであるから、昔の体調に戻りたいと躍起になっても、なかなか十分な満足は得られない。むろん、日常生活に著しい不都合を感じる場合には、「更年期障害」という有難くない病名がついて治療の対象となるが、完全に不快感が払拭されることを期待するとフラストレーションが溜まっていくだろう。
更年期には不快感を敵視するのではなく、あるがままの体の変化を受けいれつつ、つらい症状を少しでも快適にやり過ごす方法を探していくのが賢い対処法といえるだろう。
症状の現われ方は百人百様
女性の更年期は、卵巣の働きが下り坂になる時期を指す。医学的には、閉経(月経が1年以上ない状態)を中心とした5年から10年間のことをいう。日本人の平均的な閉経年齢はおよそ50歳なので、更年期は40代後半から50代前半ということになる。
ちなみに、20代、30代でも卵巣の機能が低下し、長期にわたり月経が止まれば、更年期障害のような症状が現われる。これを「若年性更年期障害」という。若年性更年期障害は、過激なダイエットや過度のストレスなどが引き金となって、一時的に卵巣機能が低下した場合におきるが、若くても更年期と同様の不快症状が現われるので気をつけなければいけない。
ところで、更年期にはすべての人に不快な症状が現われるわけではない。更年期をほとんど意識せずに通り過ぎる人もいれば、耐えがたい不快感に病院を転々とする人もいる。症状も突然に現われたり、一日のうち時間帯によって程度が変化したり、その日の天候や季節の影響を受けることもある。