「女性向けAV」が人気なのは、カラダが「幸せ疑似体験」を求めているから?

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女性はムードと雰囲気で、より長く幸せな気持ちが続く......

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 インターネットの通信環境の高速化は、ストレスなく高画質な動画を楽しむことを可能にした。街のレンタルビデオ店は廃れ、YouTubeの人気投稿動画がテレビ番組に逆紹介される時代だ。

 「ネットで動画」の利便性は、近年、女性の性に関する嗜好にも大きな影響を与えている。いま密かにブームなのが「女性向けAV(アダルトビデオ)」。事実、AmazonなどでのAV購入者の比率は、女性のほうが高いといわれている。余談だが、ビデオテープが絶滅した現在でも「AV」と呼ばれるのは不思議......。

 さて「女性がAVを観るなんて......」という偏見も少なくはないが、この分野にも"女性の活躍"が始まっている。ニーズがあればマーケットが生まれる。そこで、女性の視点を活かした女性の監督・スタッフによる作品やWEBサイトが続々と登場している。

 ただし、女性向けAVは、これまでの男性視点とは違う別物だ。従来の、性欲を喚起させるための露骨な性描写や現実離れしたシーンはない。その多くが、「美しく静かな画」と「おだやかな会話」で飾られた、いわば"草食系"だ。

 重視されるのは「恋人といる時間を疑似体験するようなコンテンツ」。ごく自然な恋人同士の情交を眺めているようなイメージである。

女性はムードと雰囲気で、より長い多幸感が続く

 男女がAVに求めるコンテンツのギャップは、主に性に関する体のメカニズムの違いがもたらしている。男性は性的な興奮を覚えるとテストステロンというホルモンが分泌され、「手に入れたい」「自分のものにしたい」という攻撃的な所有本能が呼び起こされ、性欲が高まっていく。

 だが、多くの遺伝子を残すという生殖本能は、いちど性交をすると「納得」してしまい、その後、同じ相手にはテストステロンが同等以上に分泌されなくなるという。そのため男性は、違う相手や疑似的に新たな刺激を求めて、より扇情的な映像をAVに求めるのだといえる。

 ところが、女性の脳はまったく違う働きをする。米ラファイエット大学の Wendy Hill教授の研究によると、「男性はどんな場所でも、キスをすればコルチゾールというストレスホルモンの数値が下がり、安心感を得る。だが、女性は、2人きりの落ち着いた場所でコルチゾール値が低下した」という結果が得られている。

 また、男性はキスを中断すると多幸感が一気に失われるが、女性はいったんコルチゾールが低下しても多幸感が継続するという。つまり女性は、ムードと雰囲気で「より長く幸せな気持ちが続く」のだ。

性ホルモンが多幸感と美容に効果あり?

 女性向けAVは、「幸せなムードを楽しむための疑似体験」を満たすひとつのコンテンツ。単純に性欲を高めたいという女性ももちろんいるだろうが、「素敵なシチュエーション」で「かっこいい(かわいい)男性」と恋人同士の気分を味わう「一人称のエンターテイメント」なのかもしれない。

 女性は、オキシトシンという「抱きしめられたい」「愛されたい」という性ホルモンが強い。「抱きしめホルモン」の異名をもつオキシトシンが高まることでも、女性は多幸感を得ることができる。これは男性とは異なる、性交後も抱きしめられていることで幸せな気分を保つことができるという、女体のメカニズムだ。

 さらに女性は、「DHEA(ジヒドロエピアンドロゲン)」という性ホルモンを持っているが、この値が低下すると太りやすく、また性感が鈍くなる傾向にある。DHEAは性的な興奮によって分泌されるため、パートナーとの素敵な時間を過ごせない場合は、女性向けAVがその一助になるかもしれない。

 男性諸氏は、なにかの機会に、いちど女性向けAVを観てみると、女性が求めていることの片鱗に触れられるのでは!?
(文=編集部)

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