あまりに大量すぎる医薬品情報に翻弄される医療従事者と患者さん

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全ての病院・医療機関に専門のカウンセラーを

 三つの事例をまとめます。薬物治療を取り巻く情報は複雑多様化し、我々医療従事者はしばしば翻弄されます。さらに、患者さんはインターネットや書籍で必死になって情報を探します。重要なのは、病気の治療は「患者さんの生活」そのものであるということです。疾患は慢性化し、病気の治療には、医療従事者だけでなく家族や友人などの近しい人達も併走します。仕事や趣味もこれまで通り続けたいでしょう。そうなると、「納得して薬物治療を受ける」という思いに至るまでには複雑な経過をたどります。

 しかしながら、言い訳がましいかもしれませんが、色んな業務を実施しながらの中途半端な説明では患者さんに納得してもらうには不十分です。また、忙しさから配慮を欠いた発言をし、知らないうちに不安を助長させてしまうこともあろうかと思います。

 ただ、医師にとって、病状説明の時間が膨大な時間外業務の一因となっている現状があります。薬剤師も、薬局で待つ患者さんのプレッシャーを常に受けていますので(「早くしろ!」と怒り出す方もいます)、十分な説明の時間を取れません。だから、事例1のように精神疾患の患者さんは健康フェアといった気楽な場でしっかりお話ししたいんだろうなと思いました。理想は、全ての病院・医療機関に専門のカウンセラーを配置することです。専門的なカウンセリング技術で患者さんとその近しい人により添って欲しいと切に願っています。そうすることで、医師は治療に、薬剤師は処方鑑査と薬物治療のフォローに専念でき、患者さんもその恩恵を享受できます。

 最後に、今の日本は、「がんゲノム医療」や、「先駆け審査指定制度(医療ニーズが高い医薬品を優先的に審査する制度)」、「公知申請(日本では適応外だが海外では頻用されている適応について、書類審査のみで承認する制度)」、「医薬品副作用被害救済制度」などと制度ばかりが先行している印象です。実際、各制度の存在すら知らない医療従事者はたくさんいます。こうした状況を放置し続けていれば、そのツケを最終的に払うのは患者さんである、ということを我々は忘れてはいけません。どうすれば良いか、みんなで一緒に考えてみませんか。
(文=橋本貴尚、医療センター仙台オープン病院、薬剤師)

医療バナンス学会発行「MRIC」2019年10月1日より転載(http://medg.jp/mt/)

難治性むちうち症からなぜ多くの不定愁訴がおきてしまうのか?
難治性のむちうち症を改善 後編 東京脳神経センター 整形外科・脊椎外科部長 川口浩医師

前編『画像診断できない難治性のむちうち症を独自の治療法で改善』

原因不明で治療法がなく多くの患者さんが回復をあきらめていた難治性のむちうち症。東京脳神経センターで進む独自の治療で、めまい、動機、吐き気などの全身症状やうつ症状などの不定愁訴が大幅に改善しているという。その具体的な成果についてお話を伺った。

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