子どものコロナワクチン接種で備えておくこと 医師の答えは

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接種が進む新ワクチン(Getty Imagesより)

 ワクチンのできるだけ早い接種を心がけて下さい――東京都の小池百合子知事は7月29日、自身のツイッターでこう呼びかけた。新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多となった状況を踏まえ、「感染状況と医療体制は最も高い警戒レベル」と訴え、早期のワクチン接種を勧めるメッセージを投稿したのだ。

 同ワクチンの総接種回数は102,913,015回。1億回を超えた。国民全体のうち1回以上の接種者は46.9%、2回接種完了者は34.0%だ(令和3年8月10日首相官邸の公表)。国内でのコロナワクチンの接種は65歳以上の高齢者で進む一方、感染者が急速に増えている40~50代への接種加速が課題になっている。また、厚生労働省は5月末、米ファイザー製ワクチンの対象年齢を16歳以上から12歳以上に引き下げた。

 感染力の強いインド型変異株(デルタ株)の蔓延が進んでいる。若年層の感染者も増加し、重症化する事例も報告される中、小学高学年や中学生、高校生へのワクチン接種が現実味を帯びてきた。

 では、その年代の子をもつ保護者は、どのようなことを留意しておくべきだろうか。自治体の集団接種や自院でのコロナワクチン接種に携わる「駅前つのだクリニック」(東京都杉並区)の角田圭子院長に訊いた。

まず、このワクチン接種は自己判断で行うもので、接種しないという選択肢もあります。接種するにしても、大人が先決で子どもの接種を急ぐ必要はありません。しかし、感染力の強いデルタ株の感染拡大の状況を鑑みると、接種を現実的に検討する状況かもしれません。 

 では、実際に接種することを決めた場合、どのような心づもりや備えを行えばよいのか。これまでの接種事例などを参考に、角田院長はこうアドバイスする。

接種日の前後は余裕のあるスケジュールを


接種日は、お住いの自治体や医療機関の都合が影響するので、余裕のあるスケジュール調整をしておくべきです。基本的なことですが、十分な睡眠をとって体調を整えられるような日程を選びましょう。また、接種後の副反応も想定して、試験や旅行などのイベントは入れないほうが無難です。そして、2回目の接種を視野に入れたスケジュールをお勧めします。

ファイザー社のワクチンは、標準として、1回目から3週間後(3週間後の同じ曜日)に2回目を接種することになっています。1回目の接種から3週間を超えた場合は、できるだけ速やかに2回目の接種を行ってください。今のところ、3週間を過ぎても、6週間以内に2回目をといわれています。

抗体ができる量には個人差がありますが、1回目接種後よりも、2回目接種後に抗体量が大幅に上昇することは明らかになっています。2回目までの間隔が空きすぎると、その効果が減少する可能性が否定できないからです。 

事前に備えておくべきこととは?


持病などがあって、かかりつけの医療機関がある場合、そこでの接種が望ましいと思います。受診をして既往歴や処方内容などの情報が共有できていれば、“もしも”の場合にスムーズな対応が期待できます。また、“顔の見える関係”であれば、より安心でしょう。

当日は、予定以上に接種までの時間を要する場合もあります。ワクチンを受けた後は、15分以上は接種会場で座って様子をみます。週去にアナフィラキシーを含む、重いアレルギー症状を起こしたことがある方や、採血などで気分が悪くなったことがある方は、15分より長めに30分ほど様子をみさせていただく場合もあります。時間には余裕をもった行動が望ましいですね。

なお、ワクチンを受けた日は、通常の生活に問題ありません。入浴もできますが、激しい運動は控えてください。 

副反応を想定しておこう


接種後、数日以内に現れる可能性のある症状は、次のものがあります。接種直後よりも、翌日に痛みを感じている方が多く、これらの症状の大部分は、数日以内に回復しています。

・接種部位の痛み、疲労、頭痛(50%以上)
・筋肉痛、悪寒、関節痛、下痢、発熱、接種部位の腫れ(10~50%)
・吐き気、嘔吐(1~10%)

また、ごくまれにですが、軽症の心筋炎、心膜炎を発症した例が報告されています。ワクチンを受けた後、胸痛や動悸、息切れ、むくみなどがあれば、医療機関を受診して、ワクチンを受けたことを伝えてください。

ワクチン接種後に体に異常があるときは、ワクチンを受けた医療機関やかかりつけ医、市町村や都道府県の窓口が相談先となります。

私自身も、ワクチン接種の副反応として接種部位に激しい痛みがありました。数日でよくなる人がほとんどですが、季節性インフルエンザのワクチンと比べれば、副反応の頻度は多く、重いように思います。

そこで、予め副反応があることを想定し、市販の解熱鎮痛剤、アイシング枕や保冷剤などを用意して備えておくとよいでしょう。 
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 ワクチンを打たず、コロナにも感染しないで、生活を続けられる可能性はゼロではない。しかし、多くの人が免疫をつけない限り、新型コロナウイルスの感染の収束は見えない。子どものワクチン接種が選択肢となった今、正しい情報を収集して備えておくことは無駄にはならないはずだ。
(文=編集部)

角田圭子(つのだ けいこ)
駅前つのだクリニック院長。医学博士。日本糖尿病学会認定専門医・指導医。日本内科学会認定内科医。和歌山県立医科大学卒業。関西医療大学内科学講師、木村病院内科、河北総合病院内科を経て駅前つのだクリニックを開設。糖尿病をはじめ、生活習慣病の管理全般を中心とした専門性の高い診療を行っている。

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