「健康リテラシー」の低さは心不全患者の死亡率に影響 日本人はメディアを妄信しがち?

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メディアの健康情報をどこまで信じますか?shutterstock.com

 健康に関する情報の理解力が乏しい患者は、急性心不全で入院した後の死亡リスクが34%高くなることが新たな研究で示唆された。

 研究の筆頭著者である米ヴァンダービルト大学医療センター(テネシー州ナッシュビル)助教授のCandace McNaughton氏によると、「健康リテラシー」の低い患者は、医療従事者との意思疎通、医療システムの利用、悪化の徴候の認知、具合が悪いときの連絡先の知識などに困難がみられることがある。

 例えば、心不全患者は退院時に膨大な医学的指示を受け、毎日多数の薬剤を飲み、食事や生活習慣を大きく変えるよう求められることが多い。「患者が最善の薬の飲み方を理解できなければ、症状が悪化し、その治療のため入院が必要となる。これにより入退院を繰り返す悪循環に至ることもある」とMcNaughton氏はいう。

 今回の研究では、2010年から2013年までに急性心不全で入院した1,300人強の患者を追跡した。全患者にアンケートを行い、医療関連書類を1人で記入する自信、医療情報の読解能力などについて回答してもらった。その結果、「健康リテラシー」の低い心不全患者(3~15点の尺度で10点未満)は、知識の高い患者に比べ、平均21カ月の追跡期間中に死亡する確率が3分の1高かった。

 健康リテラシーの低い患者の傾向として、高齢、男性である、政府の医療保険に加入している、高校を中退しているなどがみられたが、他の分野で高い教養や学歴がある人でも、医療情報の読解が難しい場合があるという。

 米ペンシルベニア大学ペン心血管センターのMariell Jessup氏は、「指示に従うのが難しい人や、指示の理由を理解できない人の経過がよくないのは当然だ」と述べている。

 McNaughton氏は、来院の際に家族や支援者に同行してもらうことによって問題を切り抜けることができると指摘し、「患者は医師の指示を自分の言葉で反復することにより、混乱を解消し、疑問点を明らかにできる」と助言している。医師の話を理解できないときは、率直にそう伝えるのがよいという。

 医師は、話をわかりやすくしたり、服薬の管理が容易になるように薬入れなどのツールを提供したりできるとJessup氏は指摘する。患者は自分が管理できることについて正直かつ現実的である必要があり、医師はそれを聞き、服薬をできる限り簡便にするよう調整する必要があると同氏は述べている。

 この知見は、「Journal of the American Heart Association」に4月29日掲載された。

日本の国民はメディアからの医療情報を妄信している!?

 しかし、ここで考えなければならないことがある。日本は先進諸国の中ではずば抜けて、新聞、雑誌、テレビなどのメディアから発信される情報を「妄信」に近い状態で受け入れているという国際的な評価がある。

World Values Survey(世界価値観調査)」の、「主要国における新聞・雑誌やテレビに対する信頼度」についての調査結果によると、日本は、2010-2014年度における新聞・雑誌への信頼度は45.5%もあり、テレビへの信頼度は37.6%という高い水準を保っている。

 しかし他の先進国では、以下のような結果。この調査の設問では、①非常に信頼・やや信頼と②あまり信頼しない・全く信頼しないに分けられ、マイナス評価は②を選択した割合だ。

(新聞・雑誌)韓国:22.2%、ドイツ:-10.3%、台湾:-36.9%、アメリカ合衆国:-52.8%
(テレビ)韓国:19.4%、ドイツ:-4.4%、台湾:-24.2%、アメリカ合衆国:-50.4%

 
 アメリカでは新聞・雑誌が-52.8%、テレビが-50.4%と非常に高い割合でメディアへから発信される情報に対してきわめて懐疑的である。

 翻って日本。こんなにもメディアからの情報を妄信しきっっている国民と暴走する現政権の報道規制の動き考慮すれば、日本では健全な「健康リテラシー」が未だにないと考えたほうがいい。つまり、事態はアメリカの研究よりさらにひどいものとなることが容易に予測できるのだ。
(文=編集部)

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