シリーズ「子どもには絶対に使ってはいけない生活用品」35回

ベビーフードの添加物は安全か?安全性の情報が不足している「加工デンプン」は禁止すべき

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安全性の情報が不足している「加工デンプン」の使用は禁止すべき(depositphotos.com)

 2018年3月6日、ベビーフード大手の和光堂(アサヒグループ食品)は、乳児用ミルク「レーベンスミルク はいはい スティックパック」「フォローアップミルク ぐんぐん スティックパック」の一部商品を自主回収すると告示しました。

 自主回収の原因は「酸化防止で行うスティック内への窒素ガス封入が不十分だったため、スティック内に酸素が残り、酸化により品質が劣化し、賞味期限の確保が難しくなったため」といいます。

 和光堂では「今後、このような事態が発生することのないよう、より一層、品質管理体制の強化に努めてまいります」としていますが、ベビーフード大手・和光堂への消費者の信頼が大きく損なわれたことは間違いありません。

「食品保存用ガス」とは?

 ところで「窒素ガス封入が不十分」というのは、どういうことなのでしょうか?

 食品の製造・保存には、窒素、酸素、二酸化炭素、水素、ヘリウム、オゾン、亜酸化窒素のガスが使われています。いずれも食品添加物に指定されています。

 東京ガスのホームページによると「食品製造用ガスの代表的なものには、冷凍食品製造における液化窒素・液化炭酸ガスがあります。その利用は、フグやカニといった高級魚介類から、うどんなどの麺類、ピラフやアイスクリームなど広範囲におよんでいます。また、油脂の硬化油化、品質向上やソルビートル(甘味料)製造用としては水素が使われています」と記されています。

 また、食品保存用ガスの最近の特徴として、包装パック向けの窒素・炭酸ガス利用が非常に増えています。これは、包装内の雰囲気を空気以外のガスに置換する「ガス置換包装」というものです。

 たとえば、かつおぶしのミニパックに「不活性ガス混入」とありますが、これには「窒素」が使われています。また、煮豆やカステラ、半生ケーキなどの半生食品には、制菌用(菌の繁殖を抑える)に「炭酸ガス」が用いられます。これらのガスは、もともと空気中に含まれているのですから、安全性は高いものと評価されています。

 しかし「食品添加物」ですから、使用法を誤れば食品の品質を劣化させ、消費者の健康に悪影響を与える恐れがあります。和光堂が自主回収をしている「はいはい」など育児用ミルクも、この「ガス置換包装」されたものです。

 和光堂の自主回収告知では「窒素ガスの封入が不十分だった」ということですが、単に窒素ガスの量が不足していたのか、あるいは窒素ガスの純度が悪かったのか、その点は定かではありません。そのため、他のベビーフードに使われている添加物の使用法を含めて徹底的なチェックが求められるところです。

同じガスでも亜酸化窒素は指定添加物

 たとえば、亜酸化窒素は、同じガスでも指定添加物に指定されています。これは無色無臭のガスで、医療分野では吸入麻酔薬として利用されています。食品では、ホイップクリーム類にのみに使用が許可されている噴射剤ですから、粉ミルクなどには使えません。ホイップクリーム1缶(約198グラム)には、8.5グラム程度の亜酸化窒素が充填されています。

 気になるのは亜酸化窒素の毒性です。ガスという気体ですので、動物実験で経口投与するのは不可能なため、実際に人が摂取する亜酸化窒素含有ホイップクリームをラットに与えて毒性を調べています(食品安全委員会の報告書より)。

 その結果、口腔内へのクリーム逆流、腹部の膨張、胃・小腸内部に白色内容物が認められています。また、亜酸化窒素ガス曝露による毒性試験では、雄ラットで精子形成細胞の障害、精子数の減少が見られ、妊娠したラットでは、胎児脂肪、胎児の内蔵・骨格異常が観察されています。

 この亜酸化窒素が、間違って育児用ミルクの「ガス置換包装」に使われていないか、徹底的な検査が必要でしょう。

ベビーフードでダイエット?

 日本のベビーフードの大半は、1961年(昭和36年)に設立された「日本ベビーフード協議会」に加盟している企業が製造・販売しています。加盟しているのは、和光堂(アサヒグループ食品)、江崎グリコ、キューピー、ビジョン、森永乳業、雪印ビーンスタークの6社です。

 同協議会は、遺伝子組み換え食品、残留農薬、食品添加物などの自主規約を定め、乳児の健康と健全な発育に寄与することを目的としています。同協議会でベビーフードとは「乳児および幼児の発育に伴い、栄養補給を行うとともに、順に一般食品に適応させることを目的として製造された食品」と定義され、現在300種類以上の商品が販売されているといいます。

 ベビーフードといえば、昨年、思わぬところで大フィーバーしました。2017年1月15日にTBS系バラエティー番組『ピラミッド・ダービー』で「ベビーフードダイエット」が取り上げられたのをきっかけに、ベビーフードが品切れになるスーパーやコンビニが続出したのです。

 番組ではタレントの春香クリスティーンさんが、3回の食事のうち2食を「ベビーフード」に変え、1週間続けた結果、もともと58.3kgあった春花さんの体重は、1週間で何と「3.1kg」も減って55.2kgになりました。スタジオ出演者も「すごーい」「見た目も全然違うよ」などと大騒ぎ。このベビーフードダイエットを考案した医者は「ベビーフードは種類が多く、飽きずに続けられる。味付けもしっかりしていて、1箱食べても120kcal程度」と言っていました。

 赤ちゃん本舗などの量販店でもベビーフードが品薄状態になるほどのフィーバーでしたが、「赤ちゃんの食べ物を奪うな」と非難の声も噴出しました。今ではベビーフードダイエットは、すっかり下火になり、品薄状態も解消されました。

なぜベビーフードに安全性の情報が不足している「加工デンプン」を使うのか?

 消費者の方々には「日本ベビーフード協議会加盟企業の商品なら安全・安心」と思い込まず、商品の原材料名表示をよく見て、どんな添加物が使われているのか確認し、慎重に商品を選ぶことが、赤ちゃんの健康のためには大切です。

 同協議会では「食品添加物の使用は、必要不可欠な場合に限り、最小限の使用に止めています。また、使用できる添加物も限定しています」として、保存料、着色料、化学調味料などの使用を禁止しています。その点は、非常に評価できます。

 しかし、どうしても納得できないのは「加工デンプン」の使用を認めていることです。同協議会の「ベビーフード添加物リスト」(平成29年1月)では、増粘剤として「アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酸化デンプン、ヒドロキシルプロピル化リン酸架橋デンプン」といった加工デンプンが使用できるとして、リストアップされています。

 加工デンプンは、デンプンに化学薬品を加えて、その特性を失わせたり、増強させたりしている合成添加物で、安全性に関する情報が不足していることが大きな問題になっています。

 EU(欧州連合)は乳幼児向け食品に、加工デンプンのひとつヒドロキシルプロピル化リン酸架橋デンプンの使用を禁止しています。「製造工程で用いられる化学物質のプロピレンオキシドは、発がん性、遺伝毒性のある物質であることは否定できない」(欧州食品科学委員会)というのが、その理由です。このような安全性が不確かなものを、体の発育が未熟な子どもに摂取させるのは避けるべきです。

 「加工デンプン」と表示してよい添加物には11品目あります。したがって「ヒドロキシルプロピル化リン酸架橋デンプン」とは記載されません。原材料名表示を見て「加工デンプン」の記載があったら、子どもに摂らせるのは控えたほうが無難です。

 特に子どもが好きなカレーは、食べる頻度も量も多くなりがちですから要注意。日本ベビーフード協議会加盟のグリコのカレーには加工デンプンが使われているので気をつけてください。

 グリコの「1歳からの野菜カレー」は「10種類の野菜を食べやすい大きさ・形・固さにして使用しています。うす味で素材の風味や色・香りを生かしています。着色料、保存料、香料、化学調味料は使用していません。カルシウム、鉄入り」と謳っています。

 しかし、原材料名表示は、次の通りです。

 「野菜(じゃがいも、にんじん、たまねぎ、赤ピーマン)、砂糖、牛肉、バター、かぼちゃペースト、たまねぎエキス、りんごペースト、トマトペースト、カレー粉、食塩、かつおエキス、チキンブイヨンパウダー、ウスターソース、ほうれん草ペースト、ブロッコリーペースト、しょうがペースト、にんにくペースト/増粘剤(加工デンプン)、グルコン酸Ca、ピロリン酸鉄、(一部に乳成分・小麦・牛肉・鶏肉・りんごを含む)」

 グリコならびに日本ベビーフード協議会は、ベビーフードに「加工デンプン」を使うのをやめてください。また、液体ミルクが日本でも解禁されることになりましたが、どんな添加物が使われているのか、メーカーならびに販売者は、表示されない添加物も含めて全てを情報公開すべきです。
(文=郡司和夫)

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郡司和夫(ぐんじ・かずお)

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。

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