免疫療法がついにがん治療の<4番目の柱>に!?(depositphotos.com)
これまでのがん治療は、「手術」「放射線療法」「化学療法」を3本柱としてきた。それに加えて研究が進み、近年<第4の治療>として注目されているのが「がん免疫療法」だ。
「がんは、まず『手術』、それが難しい場合は『放射線治療』や抗がん剤などの『化学療法』を行うのが標準的な治療です。これを根本から変えて、最初の治療に用いられる可能性を秘めているのが『がん免疫療法』です」
こう説明するのは、昭和大学臨床薬理研究所(臨床免疫腫瘍学講座)の角田卓也教授だ。
角田教授は30年以上にわたり、がん免疫療法の最前線で研究を続けてきたエキスパート。今年、『進行がんは「免疫」で治す 世界が認めた がん治療』(幻冬舎)』を上梓した。
同書では、免疫本来の力を回復させてがんを治療する「免疫療法」の種類と効果、実績を一般の人にもわかりやすく解説している。
昨今は書籍や雑誌、インターネットなどで「がん免疫療法」の情報が氾濫し、その内容も玉石混交である。がん患者やその家族が、誤った治療法を選択する危険すらあるのが実情だ。
本書は、利害関係のない立場から客観的で正確な情報を伝える――をテーマに掲げ、専門家や医師でなくても理解できるようにまとめられている。画期的ながん免疫治療薬が登場し、<新たな時代>に入った今、がん患者が「正しく治療法を選ぶための知識」を得るには最適な一冊といえる。
効果が明らかな免疫療法は限られている
免疫療法は、ヒトが元来もっている免疫の力を用いて、<がん細胞を排除する>というものだ。これまでのがん治療法とはアプローチの仕方が異なる。
期待されてきた免疫療法だが、これまでの研究では有効性(治療効果)は認められてこなかった。
しかし、世界中の医療現場では、免疫療法による有効性が相次いで確認され、2016年10月の「欧州臨床腫瘍学会」では、免疫療法を肺がん治療の「ファーストライン(第1選択薬)」として選択するとの発表がされた。