連載「歯科医療の革命~顕微鏡歯科治療」第2回

顕微鏡医学の歴史〜歯科での顕微鏡の使用は根管治療からスタート

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歯科分野での顕微鏡の普及は根管治療から

 一方、歯科分野での顕微鏡の普及は医科からかなり遅れることになりました。医科と同時期に歯科治療にも使われたとする記録もあるのですが、本格的な導入は数十年遅れることになります。

顕微鏡医学の歴史〜歯科での顕微鏡の使用は根管治療からスタートの画像3

【写真2】

 歯科においての最初は、根管治療でした。虫歯が進行して根の神経まで細菌感染した場合に行う治療です。【写真2】をご覧ください。神経が入っている根管は非常に細く、しかも口の中は狭く、暗い……。根管を見ながら治療することは不可能であることはご理解いただけると思います。


顕微鏡医学の歴史〜歯科での顕微鏡の使用は根管治療からスタートの画像4

【写真3】

 それまでの根管治療は、手探りで行なっていました。そのために根管の見逃しなどが頻繁に起こっていたのです。ここに顕微鏡が導入されたことは正に革命でした。【写真3】【写真4】をご覧いただくと、拡大率を上げてゆくほどに肉眼では見ることのできなかった虫歯や根管の構造までが顕微鏡の拡大と照明により見られるようにになった事が一目瞭然です。

顕微鏡医学の歴史〜歯科での顕微鏡の使用は根管治療からスタートの画像5

【写真4】


 歯科治療はそのほとんどが外科処置なので、見えるか否かはその処置の質を決定付けます。顕微鏡歯科医師同士では「30年目のベテラン歯科医師が肉眼で根管治療するよりも、3年目の新米先生が顕微鏡を使いながら行う方が良い結果に繋がる」と話しているほどです。

 根管治療における顕微鏡の効果は絶大でした。顕微鏡を用いた根管治療の世界的なリーダーの一人である米国ペンシルバニア大学のKim元教授は「You can only treat what you can see(「あなたが治療できるのは見えるものだけである」。つまり「見えないものは治療できない」という意味)と言っています。これは顕微鏡歯科医全員の思いですね。

日本では歯科医院の約5%で顕微鏡が使われている

 1990年頃から本格的な使用が始まった歯科分野での顕微鏡治療ですが、21世紀に入りその普及は急速に進みつつあります。特に日本では年を追うごとに販売台数が増え、年間販売台数は医科用顕微鏡のそれを追い越すほどまでになっています。

 2017年現在、日本全国で数千台の顕微鏡が使われています。これは開業歯科医院数の5%を超える数です。世界的に見ても開業医の5%以上に顕微鏡があるのは、おそらく日本だけです。日本顕微鏡歯科学会の会員数も1300人を超え、顕微鏡歯科治療の学会としては世界最大規模の会になっています。日本人の器用さと勤勉さが顕微鏡歯科治療に適しているのかもしれません。

 根管治療から始まった顕微鏡歯科治療ですが、現在はあらゆる歯科治療に応用され、治療の質を飛躍的に高めています。今後はデジタル化技術との相乗効果で、更なる発展が期待されています。その具体的な効果は、今後の連載でたっぷりご紹介していきます。

三橋純(みつはし・じゅん)

医療法人社団 顕歯会 デンタルみつはし 理事長。1989年、新潟大学歯学部卒業後、東京歯科研究会、三橋歯科医院(新潟市)、荒木歯科医院(東京都大田区)を経て2000年にデンタルみつはし開業。2006年、日本顕微鏡歯科学会理事、2009年、日本顕微鏡歯科学会副会長、2010年より「顕微鏡歯科ネットワークジャパン」発起人・認定医。主な著書に『顕微鏡歯科入門』、月刊「歯界展望」別冊『顕微鏡歯科を始めよう』、『写真でわかるラバーダム防湿法』、その他、雑誌への掲載論文多数。

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