医療ドラマ『フラジャイル』はどこまで正確? 治療開始後も顕微鏡を覗き続ける病理医

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顕微鏡の向こうには不安な患者が待っている wavebreakmedia / PIXTA(ピクスタ)

 縁の下の力持ちである病理医の職域描写と主要キャラの素性紹介も一段落し、いよいよ人間模様の交差部分が動き出した医療ドラマ『フラジャイル』(フジテレビ系)。ドラマの原作漫画も、医療の裏側を巡るエピソード、多彩な人間模様が描かれて根強い人気だ。

 ところが、専門家によるチェックは、少々手厳しい感想となった。

 「病理医(の労働時間)が9時から5時という設定は、単純に原作者の誤解です。病理医は患者さんを診ないので時間を作りやすいし、9時から5時で組もうと思えばできなくもない。『ですから、子育てを兼ねる女性向きの仕事です』というニュアンスを取材時に喋ったら、『病理医(の勤務時間)は9時から5時』となってしまいましたね(笑)」

ネクタイ着用もあくまでドラマ仕様

 そう語るのは、漫画原作の裏付け取材に応じた協力者の一人である、藤田保健衛生大学医学部の堤寛教授(病理学)だ。

 長瀬智也さん扮する天才病理医のキャラ設定にも、少なからぬ影響を及ぼしていることは想像に難くない。「白衣を着ない、ネクタイをしないという点も強調したのですが、原作もドラマ上でも岸先生はネクタイをしていますね」と笑われた。

 この程度の齟齬はドラマ仕様の割引で済まされるが、結核の誤診を巡って展開した第3話では、素人目にもやや首を傾げてしまう描写があった。

 第3話では「確定できない診断」に主人公・岸京一郎(長瀬智也)は検査続行を教示。にも関わらず、臨床医が見切り発車で治療開始を……。という誤診秘話で魅せた。原作(第7話)でも「飛沫感染するぞ!」とか「予防接種済みだ、だから結核じゃない!」と吹き出しにある断言部分だ。

 「結核が強く疑われる状況で、武井咲さん演じる宮崎医師が専用マスクをしないで患者に接するのはあまりに非常識(結核菌に対する空気感染リスクが高い)。“スーパー病理医”岸京一郎には、接触者健診(結核患者と濃厚に接触した人を対象にした結核検診:胸部レントゲン検査と下記する血液検査、費用は病院持ち)をぜひ提言してほしかった!」と堤教授。

 さらにこう付け加える。「この症例は、正直、原作者の勉強不足でしたね。結核は必ず鑑別診断に入るので、疑えば腸生検を4回も繰り返す前に、採血してT-SpotあるいはQFT(クォンティフェロン)を検査します」(T-SpotとQFTは結核感染のための特異性の高い血液検査)

 「今回の話の場合も“陽性”だったはずですから保険もききます。そもそも結核菌は飛沫感染しません! 空気感染ですから」

 「そもそも、炎症性腸疾患を腸生検標本だけで診断しようとするのは間違い……。それでも結構、(潰瘍性大腸炎は)診断がつきます。しかしながら、クローン病で肉芽腫がみえる確率はあまり高くないので、実際、病理診断がつかなくても治療は始めるんですね」

「10割の診断」に至るまで

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インタビュー「若年性更年期障害」第2回 ポートサイド女性総合クリニック「ビバリータ」院長・清水なほみ医師

藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授。慶應義塾大…

堤寛

東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授1986年東…

高橋現一郎

"1988年 東京大学医学部卒業。1992年東京…

後藤利夫