連載「暮らしとつながるサプリメント」第9回

サプリメント『えんきん』の効果は?消費者団体は『えんきん』の効果に懐疑的

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サプリメント『えんきん』の効果に疑義が(画像はファンケルの公式HPより)

 テレビCMでもすっかりお馴染みの「中高年の手元のピント調整力をサポート」するサプリメント『えんきん』(ファンケル)。今期55億円、来期(18年3月期)は70億円の売り上げを目指そうという、まさに「スター製品」である。これに続けと3月には、ターゲットを若年層に絞った新商品『スマホえんきん』を売り出した。

 さて、この『えんきん』の人気の秘密はどこにあるのか? 「リピート率は高い!」とメーカーは言う。口コミサイトにも、良い評価がたくさん載っている。ただし、これらの情報はどれも客観性に欠ける。

「目」という部位を用いて「老眼」に効くことを表現しているが……

 では、客観的な情報はどこにあるかといえば、パッケージの機能性表示だ。

 『えんきん』は「機能性表示食品」なので、その効果を表現するにあたって科学的根拠を示さなければならない。そして『えんきん』には、実際に製品を用いた臨床試験(人を対象とした試験)によって効果を確認したということで、パッケージ表面には囲みで「臨床試験済み」とある。消費者にしてみれば、これはとても心強いメッセージに映る。

 さらにパッケージを見るとこんな文句が書いてある――。「体内への効率を第一に考えています」「手元のピント調節力に」「中高年の目の健康に」「手元の小さい字が読みにくい」「メガネに頼りたくない」と。その脇には、老眼鏡のようなメガネをかけた高齢者が新聞を読んでいるイラストがある。

 これを見れば、たぶん誰もが「老眼が治るのかな?」と思うだろう。

 もちろんサプリメントでは病名を表記することはできないので「老眼」とか「眼精疲労」という文言を使うと違法になる。しかし、機能性表示食品については、体の部位を使って表現することが認められているので、「目」という部位を用いてじつにうまく「老眼」に効くことを表現しているのだ。

 では、本当に「老眼」に効くのか? 消費者庁に届けられた客観的な「効果」を証明する「臨床試験」の中身はいかに?

「『えんきん』の根拠は、お粗末すぎる」と消費者庁に届出撤回を要求

 「『えんきん』の根拠は、お粗末すぎる」として消費者庁に届出撤回を求めているのが、科学ライターの松永和紀さんだ。FOOCOM.NETという消費者団体を立ち上げて信頼に足る食情報を提供しており、その内容はなかなか質実剛健である。

 松永さんが「論文の質が、一言で言えば低い。低すぎる」と言う根拠はこうだ。

 ファンケルは、被験者24人ずつに対して、片方には当該商品を、もう片方にはプラセボ(偽物)を摂取して、4週間後の変化を比較したのだが、「目のピント調節」と「目のかすみ」「肩や首の凝り」の3つは、統計的に有意な差があったという。

 この論文の結論に対して松永さんは、よく読むと有意差はほとんどないか、あっても非常に小さいと指摘している。

 また15項目の質問票に答えてもらいスコア化したら、有意差ありだったのが「目のかすみ」と「肩や首の凝り」だというが、有意差のない13項目との作用メカニズムの違いなどをまったく考察せず、さらには各項目の対象者数がバラバラで、そもそも論文として問題ありだという。

 そして、そもそも「小規模な論文1報では、話にもならない。しかし、現実には、機能性表示食品制度は、話にもならない1報で表示が可能です」と批判している。

消費者市民社会をつくる会(ASCON)による疑義

 もう一つ、消費者の代わりに機能性表示食品の「科学的根拠」に目を光らせているのが、一般社団法人消費者市民社会をつくる会(ASCON)だ。

 企業から出された科学的根拠の量とガイドライン適合性を、「A」「B」「C」と「見解不一致」という4段階に分けて評価。ネットで「ASCON」と検索すれば、誰でもその評価を見ることができる。

 さて、先述の『えんきん』の評価を見ると「見解不一致」とある。企業と委員会の見解が一致しなかったということだが、何が食い違っているのか?

 『えんきん』は、DHA、アスタキサンチン、シアニジン-3-グルコシド、ルテインという4つの成分を配合して機能性を謳っている。しかし、これに対して委員会は、4成分を配合した科学的根拠を尋ねている。

 ①4成分を使用した理由が不明。各成分の濃度設定の根拠も不明。②安全性評価は単独成分の実績しかないので、判定不可能。③ルテインは食品から十分量摂取しているはずなので、サプリメントとしてルテインを追加摂取しても効果は得られない可能性が想定される。にもかかわらずルテインを配合した理由は何か?といったものだ(一部要約)。

 これに対して企業側は、4成分配合の根拠は使用者の「効果実感の声」だとして、臨床試験で現れている結果以上の機能を示していないと反論している。

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