連載「暮らしとつながるサプリメント」第8回

「ウコン=二日酔い予防」は日本だけ! 「都合の良い科学データ」が曖昧な根拠に

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「ウコン=二日酔い予防」を信じているのは日本人だけ!(depositphotos.com)

 ウコンと言えば、まず思い浮かべるのが「二日酔い防止」だ。そのウコン効果を消費者に定着させたのが、「ウコンの力」のCMだろう。最近は人気急上昇中のミュージシャンで俳優の星野源さんが登場し、「飲んで行こう!」というキャッチでアピールしている。

 ただ、この「ウコン=二日酔い予防効果」は、どうやら日本だけらしい。ウコンの効果を示す論文は多いが、海外ではおおむね「消化促進」や「肝機能促進」の有効性が評価されていたり、インドのアーユルヴェーダ医学では関節炎の痛みの軽減や塗り薬として湿疹や傷の治療などに用いられてきた。

 海外にはそれらしい論拠やその用途での歴史がないのに、なぜ日本だけ「二日酔い予防効果」が周知されているのだろうか?

「都合の良い科学データ」を盾に取った曖昧さ

 それはまさに、売りたい企業の指針に見合った「都合の良い科学データ」を盾に取ったCMの効果に他ならない。そして「都合の良い科学データ」が打ち出せるのは、この業界の「科学」に正解がなく、どのように解釈してもある程度のものが言える曖昧さがあるからだ。あるいは、昨日までの見解が、今日、突然ひっくり返っていたりすることも往々にある。

 たとえば最近「ウコン(クルクミン)に薬効はない」という論文が米国ミネソタ大学の研究チームから発表された。これまで「ウコンの含有成分のクルクミンが二日酔いに効く!」と謳われ、商品のパッケージにはクルクミンの含有量が明示されてきたが、この論文を評価するとすれば、「クルクミン効果は偽証なの?」という話になる。

 かの研究チームの論文では、クルクミンは体内に吸収できない化合物であることや、反応性が高く、タンパク質に作用しているような見せかけの効果を表すことがあるというのだ。

 ところが、最近の商品パッケージをよく見ると、有効成分は「クルクミン」だけではない。「ビサクロン」と「ビタミンB群4種」が登場している。特にビサクロンの「二日酔い改善作用」と「肝障害抑制作用」は「ヒトを模した試験において科学的データがある」と、そのデータを一般消費者にもわかりやすいグラフやイラストにしてウェブサイトに掲載している。

 当該サイトによると、2013年9月に発見されたということらしいが、はたしてこの新規成分の効果の確からしさは、どれほどの客観的評価を得ているのだろうか?

後藤典子(ごとう・のりこ)

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会理事長、農医連携ユニット理事。同志社大学文学部卒業後、編集プロダクションを経てジャーナリストに。政治・経済評論をテーマにした取材・執筆を主軸としてきたが、サプリメントの取材をきっかけに市場の歪んだ情報の蔓延に義憤を感じ、生活者のための公正中立な情報の必要性を痛感。2001年、NPO日本サプリメント協会を発足、中立な情報機関として活動を始める。書籍の発刊や、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど、マスメディアにおいて執筆・評論・コメントを行うとともに、生活者や企業を対象とした講演活動を通じて、ヘルス・プロモーションの啓発に努める。現在、農と医をつないで健康と食の問題を検証するプロジェクト「農医連携ユニット」に関わるとともに、「日本サプリメント協会」を通して生活者の健康リテラシーを向上させるための情報活動を行っている。

後藤典子の記事一覧

後藤典子
子どもが発熱してもあわてない! 薬を減らして免疫力を育てよう
インタビュー「飲むべきか、飲まざるべきか、それが薬の大問題」第1回・とりうみ小児科院長・鳥海佳代子医師

過剰医療を招く一因ともいわれる、わが国の医療機関への「出来高払い制」。国民皆保険制度によって恵まれた医療を享受できる一方、<お薬好き>の国民性も生み出す功罪の両面がある。薬は必要なときに、必要な分だけ――限りある医療資源を有効に使う私たちの賢い選択とは? とりうみ小児科の鳥海佳代子院長に訊く。

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子

大阪市内のクリニック勤務。1987年 産業医科大…

吉田尚弘

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年…

里中高志