サプリメントと薬の併用はNGが? (shutterstock.com)
サプリメントの使用目的の王道は、「栄養補助食品」という言葉が示すように、不足している栄養素の補給だ。食事だけでは必要量が得られない場合に補給する、あるいは、年齢とともに体内での合成が低下する場合に補給するということだ。
しかし、意外と見落とされているのが、薬の服用によって栄養素の不足が起きた場合の補給だ。医薬品を服用することで、何らかの栄養素の吸収が阻害されたり、排泄が促進されたり、あるいは体内での合成を阻害するなどの相互作用が起きることがある。これによって減少した栄養素を補給するために、サプリメントが有効だということをご存じだろうか。
一般に、薬とサプリメントの相互作用というと、「一緒に摂ってはいけない」というネガティブな情報ばかりが先行しがちだ。しかし実際には、薬の服用によって不足する栄養素や成分をサプリメントで補うことで、副作用の予防や軽減に役立ったり、ときには症状の改善につながることも多い。
コエンザイムQ10と脂質異常症治療薬
2つの例をあげてみよう。
ひと頃、大ブームとなった「コエンザイムQ10」だが、その作用は細胞のミトコンドリアにおけるATP(エネルギー物質)産生と抗酸化作用だ。このコエンザイムQ10が、脂質異常症治療薬であるスタチン系薬剤の副作用を軽減するということで、実際に併用を勧める医者も増えている。
スタチン系薬剤の副作用でよく見られるのが、筋肉痛やむくみなどの症状だ。重くなると横紋筋融解症になる。原因の一つと考えられているのが、コエンザイムQ10の不足だ。
スタチン系薬剤は、コレステロールの合成を抑制するため、それに関わる還元酵素の働きを阻害する。しかし、コレステロールの合成過程は、コエンザイムQ10の合成過程と途中までは同じなので、還元酵素の働きが阻害されると、コレステロールだけでなくコエンザイムQ10の合成も抑えられることになる。これが筋肉痛やむくみを生じさせる。よって、コエンザイムQ10の併用が功を奏するのである。