連載 「暮らしとつながるサプリメント」 第1回

4月にスタートした「機能性表示食品」で消費者のヘルスリテラシーは高まるのか?

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「機能性表示食品」は特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品に続く第3の食品表示制度(画像は消費者庁のHPより

 今年の4月にスタートした「機能性表示食品」の新制度。「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」に続く第3の食品表示制度だが、43年ぶりの改正ということで鳴り物入りで始まった。

 事の起こりは2013年、有識者会議「規制改革会議」での提言を受け、安倍政権が「健康食品の『機能性表示』を解禁します」と閣議決定したことだ。その狙いは、食品産業の市場拡大である。アベノミクス第3の矢、成長戦略の一環だ。

 そして、その制度の引き受け先は消費者庁。新制度がいかに消費者にとって有意義なものであるかを伝えなければならない。これまでの「いわゆる健康食品」は、イメージ戦略に終始し、何がどのように体にいいのかを表現できずにいた。ゆえに消費者が誤った用い方をしたり、有効に利用できなかった。また、真っ赤なウソをついたり、品質や安全性に何の責任も持てない悪質な商品もある。これらを峻別するためにも有効な制度だという。

消費者教育が伴わなければ大きな落とし穴になる可能性も

 では、その「機能性」や「安全性」を担保するものは何かというと、科学的データの公開だ。製品の臨床試験、または機能性関与成分についての研究論文の分析結果(研究レビュー)が提出され、消費者庁のホームページに公開される。実際、いろいろな消費者団体がこの届け出情報に対する質問をしたり、エビデンスの評価を行っている。これまでと違ってオープンな議論がなされており、これが消費者のヘルスリテラシーにつながるという見方もある。

 しかし、公開されたデータの評価が、一般消費者に可能かどうかは疑わしい。専門家が見ると、中にはとてもお粗末で、恣意的な内容が散見されるという。本制度に国の審査があるわけではないので、たとえどんなにお粗末であっても、ガイドラインに則っていれば却下されることはなく、また一般の消費者には、月でもすっぽんでも"科学的データ"に変わりはない。

 こうして無事に基準をクリアすれば、これまで「健康な体をサポート」といったあいまいな表現だったものが、「正常な血糖値の維持に役立つ」などと言えるようになるわけだ。悪徳業者がこれに目をつけて、かなりリスクのある製品を「機能性表示食品」として販売する可能性も否めない。
この制度がそもそも産業育成、産業支援にあるわけだから、こうしたリスクに寛容なのは当然のことかもしれない。が、このことを理解するだけの消費者教育が伴わなければ、そのリスクは大きな落とし穴になるかもしれない。

 一方、この制度が関連企業の賛同を得ているかというと、そうでもない。

後藤典子(ごとう・のりこ)

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会理事長、農医連携ユニット理事。同志社大学文学部卒業後、編集プロダクションを経てジャーナリストに。政治・経済評論をテーマにした取材・執筆を主軸としてきたが、サプリメントの取材をきっかけに市場の歪んだ情報の蔓延に義憤を感じ、生活者のための公正中立な情報の必要性を痛感。2001年、NPO日本サプリメント協会を発足、中立な情報機関として活動を始める。書籍の発刊や、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど、マスメディアにおいて執筆・評論・コメントを行うとともに、生活者や企業を対象とした講演活動を通じて、ヘルス・プロモーションの啓発に努める。現在、農と医をつないで健康と食の問題を検証するプロジェクト「農医連携ユニット」に関わるとともに、「日本サプリメント協会」を通して生活者の健康リテラシーを向上させるための情報活動を行っている。

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