連載「暮らしとつながるサプリメント」第9回

サプリメント『えんきん』の効果は?消費者団体は『えんきん』の効果に懐疑的

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科学的に証明することは至難の業

 実際、このような複合成分の場合、「どの成分がどのように作用し、どのような相乗作用があるのか?」なんてことはほとんど分かっていないし、科学的に証明することは至難の業だろう。

 なぜなら、それらが異物ではなく、日常的に摂取している食べ物の栄養成分だからだ。科学的に立証するには、あまりに不確定要素が多すぎる。それを科学的に証明できるという前提で機能性表示を認めているこの制度自体が、実態とずれているため、こうした「見解不一致」が起こるのはむしろ当然のことだ。

 しかし問題はもっと深刻で、科学的根拠の適合性や論文の質など見定めようもない一般消費者にとって、「科学的根拠」とか「臨床試験済み」とか言われれば全幅の信頼を置くしかなく、こうした状況で口に入れる商品を判断していることはまともなのか?ということだ。

 消費者にまず伝えるべきは――、栄養成分の「科学的根拠」など、所詮、「当たるも八卦当たらぬも八卦」だとタカをくくっているくらいがちょうどよいと思って、宣伝文句やパッケージの表示を見てくださいということ。そして、「安全性」についてもまだ確かなことは分からないので、体調の変化に気をつけて過剰に摂取することはやめましょうということではないかと思う。

 しかし、こんなことを伝える販売者などいないだろうから、いつまでたっても消費者の判断はCMのイメージや「臨床検査済み」という「信頼性のある」メッセージに引きずられるのだろう。

 さて、『えんきん』がバカ売れしているのは、よく効くからか?、それとも、上手なCMのおかげなのか? 気になるところだ。

連載「暮らしとつながるサプリメント」バックナンバー

後藤典子(ごとう・のりこ)

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会理事長、農医連携ユニット理事
。同志社大学文学部卒業後、編集プロダクションを経てジャーナリストに。政治・経済評論をテーマにした取材・執筆を主軸としてきたが、サプリメントの取材をきっかけに市場の歪んだ情報の蔓延に義憤を感じ、生活者のための公正中立な情報の必要性を痛感。2001年、NPO日本サプリメント協会を発足、中立な情報機関として活動を始める。書籍の発刊や、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど、マスメディアにおいて執筆・評論・コメントを行うとともに、生活者や企業を対象とした講演活動を通じて、ヘルス・プロモーションの啓発に努める。現在、自己健康管理サイト「ヘルスデザイン」をプロデュースするとともに、
農と医をつないで健康と食の問題を検証するプロジェクト「農医連携ユニット」に関わるとともに、
「日本サプリメント協会」を通して生活者の健康リテラシーを向上させるための情報活動を行っている。

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