ADHDに新しいアプローチの可能性!? 発達障害の子供に向くスポーツは何?

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発達障害にはスポーツが有効!?

 米サンディエゴで開催された米国スポーツ医学会(AMSSM)年次集会で5月11日、米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センタースポーツ医学部のJames Borchers氏らが発表した研究によると、ADHDの人は個人競技よりも団体競技をする傾向があるという。

 今回の研究では5年間にわたり、米オハイオ州立大学でスポーツ競技をしている選手850人超を対象に調査を実施した。対象者のうちADHDと診断されている人は5.5%強であり、これは学生全体とほぼ同率であった。

 Borchers氏らは、ADHDの選手はテニスやゴルフなどの個人競技に惹かれる傾向があるのではないかと予想していたという。こうした競技では自分でコントロールできる部分が多く、反復練習が多く、自分の持つ責任や仲間と敵の役割について心配する必要がないためである。

 しかし予想に反して、ADHDの選手では団体競技をしている可能性が2倍であり、アメフトやホッケー、ラクロスなどのコンタクトスポーツに参加している可能性は142%高くなることが分かった。

 Borchers氏らは、「団体競技に参加すると、ADHDの選手における外傷リスクは高まる可能性がある」と言う。同センターのTrevor Kitchin氏も、「ADHDの若者では衝動性が高く、無謀な行動がわずかながら多くなることが知られている。ADHDが怪我につながるわけではないが、その特徴を考えると、特にコンタクトスポーツではリスクが高まる可能性がある」と話している。

 過去の研究では、スポーツをすることで小児のADHD症状を軽減できることが示唆されている。Kitchin氏は、「選手自身、保護者、コーチ、トレーナーが率直に話し合い、協力してスポーツでの成功に必要な方策を提供することが重要だ」と述べている。

 ADHDに関して、「運動」によって症状が改善したという複数の報告がある。

 ミシガン州立大学のアラン・スミス教授は、幼稚園児から小学校2年生の児童200人に、12週間にわたって登校前に有酸素運動させる実験を行った。運動プログラムに参加したすべての子どもが算数の学力や国語力がアップし、脳機能の向上が確認できたが、参加したADHDの症状を持つ子どもたちは、健常な子どもよりもはるかに脳機能の改善が見られたという。
 
 また、米国・ニューヨーク州立大学のBriannon C O'Connor氏らは、ADHD児におけるスポーツのアウトカムを評価したJournal of abnormal child psychology誌2014年8月号の報告では、ADHD児に対するスポーツトレーニングを含む集中的行動介入は、スポーツの機能的アウトカムを有意に改善させることが示唆されたとしている。
(O'Connor BC, et al. J Abnorm Child Psychol. 2014;42:1005-1017.)

 世界のADHDの治療薬市場は年々増加の一途だ。日本では覚醒剤に指定されている薬(アンフェタミン)もアメリカではADHDと診断された子供たちに普通に投与されている。日本で承認されているメチルフェニデート塩酸塩徐放錠(コンサータ)とアトモキセチン塩酸塩(ストラテラ)の消費量も非常に大きくなっている。

 今後、ADHDの詳細な情報が積み重ねられることで、薬に頼り過ぎないさまざまなアプローチで治療や介入の可能性が望まれる。そしてなにより周囲の理解が非常に重要だ。
(文=編集部)

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