連載「眼病平癒のエビデンス」第13回

白内障の手術を「4~5分で終わる」と自慢する医師には気をつけろ! 重要なのは時間ではなく合併症の適切な対処

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白内障の手術時間は「短ければ成功」ではない(shutterstock.com)

 技術や機器の進歩により、最近の白内障手術の時間は短くなってきており、10~20分くらいで終わることが多いようです。

 しかし、テレビや雑誌などでは「4〜5分で終わる手術」が紹介され、あたかもそれ以上の時間がかかったら失敗したかのような風潮が見受けられます。事実、患者さんの中には、術後に手術時間を尋ねる方がいて、「10分だった」と聞くと、「失敗したのですよね?」、あるいは「右は5分だったのに、左は10分かったから失敗したのですか?」などと言われることがあります。

 眼科医の中には、手術時間が短いことを売りにしている人もいます。しかし、多くの眼科医は、手術時間にはさほど執着していません。もちろん何分かかっても構わないわけではありませんが、手術で最も大事なのは、衛生的で合併症を生じさせないこと。これを忘れてはいけません。

 たしかに手術時間が短いほうが、目に対するストレスが少なくなります。しかし、手術時間は短いが、合併症を起こす確率が高いのでは本末転倒です。合併症を起こさずに10~20分で終われば、一般的には十分に早い手術と言えます。

白内障の症状は、人によっても左右の目によって違いがある

 白内障の症状は、人によって、あるいは同じ人でも左右の目によって違いがあり、それによって手術時間も変わってきます。白内障が進行すると、水晶体は白色から黄色、茶色、黒色と変化します。水晶体が茶色や黒色にまで進んだ白内障手術は、どんな熟練者が行っても5分で終わることはないでしょう。

 また、白内障の手術は瞳孔(黒目)を広げてを行いますが、瞳孔が広がりにくい目(小瞳孔)では、水晶体の全体が見づらいため手術が難しくなります。合併症起こさないように慎重に手術を進めるので、その時間が長くなることがあります。

 さらに、大学病院などの教育機関では、若い医師が主治医になることもあります。多くの場合では上級医師がついて一緒に手術を行いますが、経験が少ない医師の手術は時間がかかることもあります。ただし、一定の時間が過ぎたら上級医師と交代して執刀します。

 この様な場合も、手術時間は若い医師の目標ではあっても、目的ではありません。また、たとえ上級医師が執刀したとしても、助手の医師に教えながら手術することがあり、決して手術時間を気にすることはありません。

高橋現一郎(たかはし・げんいちろう)

東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授。1986年、東京慈恵会医科大学卒業。98年、東京慈恵会医科大学眼科学教室講師、2002年、Discoveries in sight laboratory, Devers eye institute(米国)留学、2006年、東京慈恵会医科大学附属青戸病院眼科診療部長、東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授、2012年より東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科診療部長。日本眼科学会専門医・指導医、東京緑内障セミナー幹事、国際視野学会会員。厚労省「重篤副作用疾患別対応マニュアル作成委員会」委員、日本眼科手術学会理事、日本緑内障学会評議員、日本神経眼科学会評議員などを歴任。

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