1日1錠、飲むサングラス!? 失明を防ぐ世界初の加齢黄斑変性の「飲み薬」開発へ

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世界初の加齢黄斑変性の「飲み薬」が開発(shutterstock.com)

 あなたは目が見える人(晴眼者)に違いない。仮に近視や遠視でもメガネやコンタクトを付ければ、この記事を読めるからだ。目が見えない視覚障害者の実態を見てみよう。

 2008年3月、厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部企画課が発行した『平成18年身体障害児・者実態調査結果』によれば、視覚障害者は約31人、視覚障害児は約4900人だ。

 WHO(世界保健機関)の推計(2010年)によると、世界の人口・約73億人に占める視覚障害者は約2億8500万人(全盲3900万人、弱視2億4600万人)。およそ26人に1人は視覚障害者だ。視覚障害者の9割は低所得国に住み、視覚障害の80%は予防や治癒が可能としている。

 低所得国とは、世界銀行の定義(2013年)によれば、1人当たりのGNI(国民総所得)1045ドル以下の41か国(8億人)をさしている。視覚障害の主原因は、白内緑、緑内障、感染症などだ。

世界初のドライ型加齢黄斑変性の飲み薬

 米国ワシントン州シアトル市にアキュセラ社(窪田良社長・CEO)がある。2002年に立ち上がったアキュセラ社は、緑内障の原因遺伝子ミオシリンの発見を手始めに、有効な治療法のない網膜疾患や失明疾患の撲滅をめざして、大塚製薬と共同で治療薬の研究開発にひたすら取り組んでいるバイオベンチャーだ。

 2016年1月14日付けのJBpressによれば、アキュセラ社は地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)の患者を対象にしたエミクススタト塩酸塩の臨床第2b/3相試験の進捗状況を発表した。

 発表によると、2013年に米国食品医薬品局(FDA)のファスト・トラックの認定を受けてスタートしたエミクススタト塩酸塩の臨床第2b/3相試験は、2014年に508人の被験者登録を完了後、24ヵ月の投与期間を経て、2016年の3月に被験者の投与を終了。この6月には臨床第3相試験のトップラインデータを公表する予定になっている。

 臨床第3相試験の結果が良好なら、アキュセラ社はエミクススタト塩酸塩の承認申請書をFDAに提出、承認されれば、臨床治療に入る見込みだ。

 まず、用語を説明しよう。

 加齢黄斑変性とは、加齢や生活の欧米化が誘因となり、視細胞が光を浴びすぎて網膜が損傷を受けると、光を電気信号に変換する網膜の中心部の黄斑に老廃物が蓄積し、視野の中心が歪んだり、黒点が現れるために、目が見えにくくなる疾患だ。

 加齢黄斑変性は、ドライ型(萎縮型)とウェット型(滲出型)がある。ドライ型は自覚症状がないが、ウェット型は出血する。

 加齢黄斑変性の約90%を占めるドライ型は、欧米で失明原因の第1位、日本で第4位。50歳以上の約1%が発症し、患者数は世界で約1億2000万〜1億3500万人に上る。悪化すれば、網膜色素上皮が徐々に地図状に萎縮するため、時間の経過とともに中心視力が少しずつ低下し、失明に至るリスクが高まる。

 ファスト・トラックとは、難疾患や生命を脅かす疾患の治療効果が見込める有望な医薬品の開発・審査の迅速化を図るために、FDAが手続きを簡素化し、他の新薬よりも医薬品の審査・承認を優先的に進める優遇制度だ。

 原義は追い越し車線。遺伝子治療薬コテラジェン、胃がん治療薬テセタキセルなど、ファスト・トラックで認定された医薬品は少なくない。

 臨床第2b/3相試験とは、治療群とプラセボ群を比較し、治療薬の有効性と安全性を評価する二重盲検試験だ。

 トップラインデータとは、臨床試験の主要評価項目のハイレベルな達成度を示す試験結果をさす。

 エミクススタト塩酸塩は、安全に経口投与できる非レチノイド系の視覚サイクルモジュレーター(VCM)化合物。視覚サイクルモジュレーターとは、光を電気信号に変える網膜の視覚サイクルの活動を低下させることによって、網膜の有害副産物を減少させ、網膜の損傷を軽減する治療技術をいう。

 つまり、エミクススタト塩酸塩は、網膜の視覚サイクルの働きを促す酵素RPE65を抑制するので、ビタミンAの代謝率を低下させ、ビタミンA由来の有害副産物A2Eの産生を抑えるため、失明につながるドライ型加齢黄斑変性の治療薬として期待されている。

 今後は、ウェット型加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、スターガート病にも適応領域を広げる計画がある。

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