2016.06.26
連載「眼病平癒のエビデンス」第13回
手術で大切なことは時間ではなく合併症が起きた時の適切な対処
眼科に限らず手術で大切なことは、時間ではなく合併症が起きた時に適切な対応が取れるかどうかです。大学病院などの教育機関では、まず、合併症を起こさないで手術を終えられるように指導し、十分な技量が習得されたら合併症の対策を学びます。合併症の対策が適切にできて一人前の術者と言えるようになるのです。
患者さんの希望により4分で手術をすることを売りにしている眼科医に紹介したら、「白内障が進行しているからうちの病院ではできません」と返されたと言う話も聞いたことがあります。
患者さんはテレビや雑誌などのマスコミから情報を得ることも多いとは思いますが、その様な情報を鵜呑みにせず、自分の目の状態や白内障の程度を担当医から良く聞いて、手術を決めることが重要だと思われます。
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高橋現一郎(たかはし・げんいちろう)
くにたち駅前眼科クリニック院長。1986年、東京慈恵会医科大学卒業。98年、東京慈恵会医科大学眼科学教室講師、2002年、Discoveries in sight laboratory, Devers eye institute(米国)留学、2006年、東京慈恵会医科大学附属青戸病院眼科診療部長、東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授、2012年より東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科診療部長。2019年4月より現職。
日本眼科学会専門医・指導医、東京緑内障セミナー幹事、国際視野学会会員。厚労省「重篤副作用疾患別対応マニュアル作成委員会」委員、日本眼科手術学会理事、日本緑内障学会評議員、日本神経眼科学会評議員などを歴任。
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