週2~3時間のウオーキングでもがんリスクが低下(shutterstock.com)
医師から生活習慣の改善を再三指摘されたり、運動不足を重々自覚しつつも一向にカラダを動かさない人たちがいる。
では、「定期的な運動が13種類ものがんのリスク低減に優位だ」ということを知ったら、彼らのいったい何%が腰をあげるだろうか?
そんな“怠け者”を運動に駆り立てるかもしれない興味深い知見が、『JAMA Internal Medicine』(5月16日付オンライン版)掲載された。
その大規模な論考によれば、週2~3時間の運動を行なうだけでも「乳がん」「大腸がん」「肺がん」のリスクが軽減する可能性につながるという。
同研究の筆頭著者であるアメリカ国立がん研究所のSteven Moore氏は、次のようにコメント。
「さらに運動時間が増えれば増えるほど、多くのがんリスクが際限なく低下しつづけるようだ」
実際、今回の解明では前掲の3種類のほか、次の10種類のがんもリスク低減が関連付けられた。白血病・骨髄腫・食道がん・肝がん・胃がん・腎がん・子宮内膜がん・直腸がん・膀胱がん・頭頚部がん――。
運動でがん関連のホルモンの値が低下
研究班はまず、米国およびヨーロッパの12件に渡る研究データを統合し、成人140万人(19~98歳)ぶんのデータベースを作成した。
その上で自己申告された運動の内容により、26種類のがんのリスクに「差」がみられるかどうかを検証した。
結果、検討対象の26種類のうち半数(上記の13種類)のがんに関し、運動とリスク低減の関連が読み取れた。その多くは肥満や喫煙歴などの因子を考慮した場合も、有意な低減可能性が認められた。
リスク低減の主な内訳は「食道がん」の42%を筆頭に、「肺がん」が26%、「大腸がん」が16%、少ない部類の「乳がん」でも10%の可能性が運動との関連で読み取れた。なお、今回の研究で運動とリスク低減の因果関係は明らかにされていない。
これについてMoore氏は、「確かに今回、運動ががん予防に役立つ理由は明らかではない」としながらも、「運動を行なうと、さまざまながんとの関連が認められているホルモンの値が低下する。あるいは、インスリンおよびインスリン様増殖因子の値も制御される」と述べている。