汗をかかない“怠け者の国”はココ
一方、政府がうたう現行の「運動ガイドライン」では、早歩きやテニスなどの「中等度から強度の運動」を週150分、あるいはジョギングや水泳などの「激しい運動」を週75分、推奨している。
この基準は「心臓の健康」を目的としたものだが、がん予防にも有用だとMoor氏らも支持している。
なお、今回焦点があてられたのは健康向上のためだ。余暇などを利用して、あくまでも自主的に(積極的に)行なう運動に限られている。つまり仕事や家事などの動きは含まない。
ところが、健康をめぐる現実の米国事情はけっこう寒々しく、Moore氏らも「残念ながら米国成人の約半数は、推奨している最低限の運動時間を満たしていない」と、理想との差を指摘する。
日本の成人3人に2人が「運動不足」の烙印
だが、もっと深刻なのは日本。世界保健機関(WHO)が2010年9月の会合で公表した調査結果によれば、日本人の8割に相当する90万8700人が、慢性的な非伝染性疾患(がんや糖尿病などのいわゆる生活習慣病)が原因で死亡しているという。
ちなみに米国は同87%と上回っているものの、「運動」関連では日本のほうが深刻だ。なんと日本人の場合、15歳以上の約65%(およそ3人に2人)が「運動不足」と結論づけられている。
これを世界各国の運動不足比率と比べてみれば、その“劣等生”ぶりが歴然とわかる。米国43.2%、中国30.6%、フランス33.0%、ドイツ30.4%……。
そのWHOが成人(18~64歳)向けに推奨するのは、週150分(2時間半)の中等度の有酸素運動だ。さて、ソファに寝転んで耳学問よろしく、テレビの健康番組や健康本ばかりに興味が引かれているあなた。まずはカラダを動かしてみては。
(文=編集部)