転倒は将来の要介護につながる/shutterstock
2016年の新年早々、「尾木ママ転倒!」のニュースがかけめぐった――。スキー中に転倒して、脳しんとうを起こし、一瞬記憶が飛んだという。診療所に運ばれ大事には至らなかったが、本人は「筋力の低下を痛感」し「筋トレに励む決意」をブログで表明した。
尾木ママこと、教育評論家の尾木直樹氏は69歳。昨年9月にも、散歩中に転んで、顔面を強打し、額や鼻を負傷していたとのことだ。
世界保健機構(WHO)の統計によると、15歳以上の日本人の約65%が運動不足だとされる。WHOの定義では、「運動不足」とはジョギングなどの適度な運動をする時間が1週間に30分未満の状態である。
人間の能力は、記憶力も筋力も、使わなければどんどんと衰える。たとえば、携帯やスマホの電話帳機能を使うようになってから、電話番号が覚えられなくなったと実感している人は多いだろう。筋力も同様。ドイツの生物学者ウイルヘルム・ルー(1850~1924年)は「ルーの法則」で、筋肉は適度に使えば発達し、使わなければ萎縮し、過度に使えば障害を起こすと提唱した。
とにかく毎日の生活で適度に筋肉を使うことが大切だ。そのための4つのヒントを挙げてみた。
スポーツを心がけるより階段の昇り降り
ヒント1:スポーツをしなければと意気込むよりも階段を上る
筋力をつけるには、スポーツをしなればと思いこんでいる人は多い。しかし、デパートや駅ではエスカレーターでなく階段を利用するなどして、日常生活の中で楽をせずに体を動かすように努めるだけで、筋力アップにつながる。バリアフリーは、便利で体の動きが減るため、筋力のためにはよくないという考えかたもあるほどだ。
ヒント2:日光を浴びる
極端に日焼けを恐れて日光を浴びない人は要注意。日光を浴びることで体内にビタミンDが作られるからだ。ビタミンDはカルシウムとリンの吸収を活性化し、骨を丈夫にする。また、筋肉や神経を活性化することで転倒予防の効果もある。1日15~20分程度で充分。直射日光を浴びなくても、日陰にいるだけでもよい。