連載「死の真実が“生”を処方する」第25回

日本人の3割が苦しむ「花粉症」〜治療薬の眠気と交通事故の発生率は関係アリ!

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花粉症のシーズン到来!(shutterstock.com)

 春が近づいてきて、少しずつ暖かくなってきました。しかし、この時期は「花粉症」でつらい思いをする方も多くいらっしゃると思います。

 昭和35年代からわが国では、アレルギー性鼻炎の患者が増加してきました。その中でも特に花粉症が社会問題の一つにもなっています。

 どのくらいの人が花粉症になっているのかという有病率の調査報告によると、平成20年の全国平均は29.8%、都道府県別では山梨県が48.7%と最も高く、埼玉県が42.9%、高知県が42.6%と続きました。

 ちなみに、今から10年前の花粉症の有病率は19.6%でしたから、近年、著しく増加していることになります。花粉症だけでなく、アレルギー疾患に罹患する人が増加してきているのです。そして、特に最近は、小児のアレルギー疾患患者が増えているようです。

 また、時には食べ物に対して強いアレルギー反応を示す子供もみられます。給食時に注意をしなければならないこともあるのです。

 なぜ、このようにアレルギー疾患患者が増えてきたのでしょうか? それは、衛生状態が改善され、感染症に罹患することが少なくなったため、様々な物質に対する抵抗力か弱まった、ストレス社会がアレルギーを誘発するようになった、地球温暖化で花粉の飛散量が増えたなど諸説あります。しかし、実はその原因は未知な部分が多いのです。

アレルギー症状による生産損失は膨大!

 花粉症による鼻汁、くしゃみは、日常生活に支障をきたします。また、アレルギー疾患に含まれるアトピー性皮膚炎やじん麻疹などで痒みに悩まされます。このような症状は放置していても良いことはありません。集中力が低下し、ストレスがたまってしまいますし、勉学や仕事に集中できず、成績の低下や作業効率の低下を引き起こします。

 英国で15~17歳の学生を対象に行われた調査によると、成績不良者の中に有意にアレルギー症状を呈する人の割合が高かったそうです。そして、作業効率が低下すれば、労働生産性も低下します。米国のある学者は、花粉症によって1年間に失われた費用(医療費と生産損失)は米国全土で18億ドル、うち36%は生産損失が占めると試算しました。

 ほかの学者もさまざまな病気における年間の生産損失を試算していますが、アレルギー性鼻炎や花粉症は、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患と比較して著しく高かったと結論づけています。したがって、このような状態を改善するべく、早期の治療が必要なのです。

一杉正仁(ひとすぎ・まさひと)

滋賀医科大学社会医学講座(法医学)教授、京都府立医科大学客員教授、東京都市大学客員教授。厚生労働省死体解剖資格認定医、日本法医学会指導医・認定医、専門は外因死の予防医学、交通外傷分析、血栓症突然死の病態解析。東京慈恵会医科大学卒業後、内科医として研修。東京慈恵会医科大学大学院医学研究科博士課程(社会医学系法医学)を修了。獨協医科大学法医学講座准教授などを経て現職。1999~2014年、警視庁嘱託警察医、栃木県警察本部嘱託警察医として、数多くの司法解剖や死因究明に携わる。日本交通科学学会(副会長)、日本法医学会、日本犯罪学会(ともに評議員)、日本バイオレオロジー学会(理事)、日本医学英語教育学会(副理事長)など。

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一杉正仁
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