勝利の影には“変化” tada-taka/PIXTA(ピクスタ)
今年の「箱根駅伝」で青山学院大学が総合2連覇を飾った。往路に続き、復路も1位を走り続ける完全優勝だった。それだけではない、1977(昭和52)年の日体大以来39年ぶりに全10区間で1位を並べる快挙を遂げた。
この活躍の秘密は、2年前から導入した独自の体幹トレーニング「青トレ」だ。かつては青学大も「腹筋、背筋、腕立て」という古典的な陸上競技のトレーニングを行っていたという。だがその常識を変えて、フィジカルトレーナーの中野ジェームス修一氏を招き「青トレ」が誕生した。
中野氏は指導するだけではなく、「能動的に考える」ことを重視。数名のグループにわけて骸骨の模型、筋肉図を前に議論させるなど、漫然と練習するのではなく、鍛える部位やその意味を理解させることで、その効果が増したという。
マスコミの持ち上げ方は、いかにも“日本的”?
中野氏の理論は、いわゆる「体幹トレーニング」だけに留まらず、全身を効率良く動かすにはどうすればいいのか、また、いかに“動きに力を伝える”ことができるかを考えた総合的トレーニングといえる。それを陸上競技に特化したものが「青トレ」だと思う。
彼が監修した書籍や雑誌などをいくつか拝見したが、内容的には多くの“トップトレーナー”とあまり大差はない。また、彼の提唱する「考えさせるトレーニング」「モチベーションを上げるトレーニング」も、現在では多くのトレーナーや指導者が行っている。今回のように青学大の活躍によってトレーニングに注目が集まり、マスコミが持ち上げるのは、いかにも“日本的”といえば言い過ぎだろうか。
仮に、中野氏ではなくても、同じような有名トレーナーが現在の選手層を指導したら、それなりの成果を上げたかもしれない。では、成功するための違いはどこにあったのだろう。