メンタルヘルスにも活用される無害で副作用もない天然ハーブの「アダプトゲン」が人気

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アダプトゲンに属する高麗人参は古くから日本でもお茶や漢方として使われてきた shutterstock

 がん、脳血管疾患、虚血性心疾患、糖尿病は、これまで「四疾病」として重点的に対策が講じられてきた病気だ。2013年に施行された改正医療法では、そこに精神疾患が加えられ、新たに「五疾病」として対策が講じられることになった。

 現在、精神疾患の患者数は320万人を超える。企業でもうつ病対策は重要課題となっており、メンタルヘルスケアの部署を設けるところも多い。

 心の病に罹ったら精神科や心療内科を受診するのがスタンダードになりつつある。しかし、「副作用がある抗鬱剤や抗不安薬などの薬に頼りたくない」、あるいは「たとえ病気だとしても、精神科や心療内科を受診するのは抵抗がある」という人も少なくない。

 そのような人が多いからだろうか、漢方やアーユルヴェーダ(インドの伝統的な医学)で用いられるアダプトゲン(Adaptogen)と総称される天然ハーブが、ストレスにさらされる現代人のメンタルヘルスに効果があるということで、にわかに人気を集めている。

漢方薬やサプリメント、お茶、エセンシャルオイルに

 アダプトゲンとして分類されている天然ハーブには、アシュワガンダ、冬虫夏草 、党参、エゾウコギ、ホーリーバジル、高麗人参 、イボツヅラフジ、アマチャヅル、甘草、マカ、霊芝、ルージァ・カルタモイデス、ロディオラなどがある。高麗人参やアマチャヅルなどは、日本でも古くから薬草として使われてきたのでお馴染みだろう。

 これらの天然ハーブの特徴は、体内で過剰になった活性酸素の害を抑える「抗酸化物質」を多く含んでいること。活性酸素には本来、体内に侵入してきたウイルスや細菌から身体を守る作用があるが、それが過剰になると体内の正常な細胞までも攻撃してしまう。また、活性酸素は、有害な過酸化脂質の生成を促して、動脈硬化や高血圧、悪性腫瘍、糖尿病といった生活習慣病や老化を促進させる原因になる。ただし、抗酸化物質を含む天然ハーブが全てがアダプトゲンだというわけではない。

 アダプトゲンの起源は、数千年前の古代インドや古代中国までさかのぼるが、本格的な科学的研究が始まったのは1940年代後半になってからである。アダプトゲンの「adapt」は「適応する/させる」、「gen」は「生じたもの/生じるもの」という意味で、以下のように定義されている。

①無害であること
②物理的、化学的、生物学的なさまざまなストレスに対し抵抗力を高める
③生理機能を正常化するもの

 つまり、アダプトゲンとは、通常の量の摂取であれば無害であり、精神的・肉体的なストレスに対する抵抗力を高め、体を正常化する物質のことだ。

 シソ科の植物であるホーリーバジルは、タイの肉料理でスパイスとして使われることもあり、アーユルヴェーダでは、風邪、頭痛、炎症、胃の症状などの薬として使用されてきた。若返りの薬として用いられてきたアシュワガンダは、近年の研究で抗ストレス作用のほか、抗酸化作用、免疫増強作用、抗炎症作用などが認められている。蛾の幼虫に寄生するキノコの一種、冬虫夏草は、生薬としてだけでなく薬膳料理の素材としても用いられてきた。インカ帝国では戦士への褒美として与えられたマカは、4000m超のアンデス高地に育つアブラナ科の植物で、精力剤としてもその名が高い。

 これらのアダプトゲンは、漢方薬やサプリメント、お茶、エセンシャルオイルに加工されて販売されているものも多い。「心の病は西洋医学だけに頼っていては改善しない」と主張する専門家も少なくない。気分が落ち込みがちな時に使ってみてはどうだろう。
(文=編集部)

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