水中出産のトラブルは、分娩の第2期に集中して起きているという。子宮口が開き、赤ん坊が産まれてくるときだ。たとえば、お産のときに産婦の大腸菌などが自身の産道に入ったり、新生児が感染したりというリスクである。また、臍帯の断裂、新生児の水中での呼吸障害なども問題視されている。
実際に起きた事件として、出生後、長時間水中に留められて新生児が死亡したケース、新生児敗血症(感染症)、新生児の肺出血の例があるという。
このようなリスクのある水中出産に対して、性と健康を考える女性専門家の会は、次のような対策を挙げている。ローリスクの産婦であることの確認や、浴槽と浴槽周辺の洗浄・消毒、分娩中・後の母子の注意深い観察、症例の研究や個別のケースレポートを積み重ねて、安全性の検証を行うことなどだ。
妊婦が出産方法を選択するのは自由意思であり、尊重されるべきだ。しかし、リスクとベネフィットの双方についての情報を得ることは、大切な判断材料となる。
(文=編集部)