急転直下 進む緊急避妊薬のOTC化
政府が、10月8日、男女共同参画に関する専門調査会で、処方箋なしで緊急避妊薬を薬局で購入できるように(OTC化)検討すると公表した。
オンライン診療もやっと許可されるようになったばかりの現在、緊急避妊薬も処方箋により薬局で購入することが可能にはなっていたが、扱う地域の薬局でも、まだ義務づけられた研修も開催されておらず、戸惑う傾向があった中での突然の発表であった。
この緊急避妊薬は、研修を受講した特定薬剤師のみが扱えるとされているが、各都道府県薬剤師会がいざ研修を始めるとなった段階で新型コロナ感染症拡大に見舞われたので、神奈川県では研修が行われていない。よって研修が開かれるまでは、どの薬局でも扱えるという、意味不明の状態になっている。そういう中で処方箋なしで薬局での販売が来年度から可能になるという。これまで緊急避妊薬のOTC化運動を続けてきた方々や関係者は、この急転直下の経過を驚きと喜びを持って受け止めたと思われる。
医療ガバナンス研究所の山本佳奈医師は、かねてより、緊急避妊薬のOTC化を主張されてきたことはご高承の通りである。認識が高い方々は緊急避妊薬―アフターピル(アフターモーニングピル)についてはとうにご承知のことだろうが、巷ではまだまだ全く知らない人々が多数いる。勿論地方議員も同様である。地方議員の一人として、この緊急避妊薬のOTC化を進めるために、勉強会を重ねてきたものとして、何点か報告をしておきたい。
性交後72時間以内の服薬で妊娠が避けられる
本年令和2年7月10日、神奈川県令和2年度第2回定例県議会閉会日に、横浜市役所議会棟特別会議室において、超党派県市町議会女性議員が30人以上参集し、緊急避妊薬の勉強会を開催した。性被害にあった当事者の会の方々とサポーター西東京市議、ワセダクロニクル女性記者も参加し、会場は熱気にあふれていた。
この勉強会は、緊急避妊薬を処方箋不要で薬局で購入できるようにするための署名活動が開始された事を受け、不詳私小川久仁子が、この活動の一助にしたいという思いで、これまでご縁のあった県内女性議員に超党派で声掛けをして開催したものであった。ちょうど、横浜市議会、神奈川県議会に、性被害、性暴力に関する法をより厳格化することを求める意見書が両議会で可決されたタイミングでもあった。その意見書の背景には、性被害にあった女性が、予期せぬ、望まぬ妊娠をしないために、この緊急避妊薬は非常に有効な薬であるという情報ももたらされていた。性交後72時間以内に服薬すれば、多少の副作用はあるものの、かなりの有効性で妊娠を避けられるという緊急避妊薬は、特に性被害にあった女性には大きな救いになるものである。
私自身、性被害から身を守る事については、父親からかなり厳しいしつけを受けたので、若いころは男性に対して常に油断のないよう身構えていた記憶がある。その呪縛から解かれたのは、60歳を過ぎたころからである。昭和元年に生まれた父親が育った時代は、一部の階層の女性は性の売り買いの対象とされる悲しい存在であったし、戦後のどさくさの中では性暴力被害にあった女性が多くいた、父親が語っていたことも覚えている。
脇道にそれたが、私自身が緊急避妊薬勉強会に初めて参加したのは、神奈川県女性薬剤師会の研修会であった。6年ほど前であったと記憶するが、その翌年の統一地方選に出馬予定の女性市議を2-3人を誘っての参加であった。新横浜プリンスホテルの大会場を埋め尽くす女性薬剤師さんの数に驚いた記憶がある。その日を契機に、緊急避妊薬への認識を深めてきた。