DNA鑑定秘話 第16回

東電OL殺害事件〜新たな鑑定ではネパール人容疑者とDNA型や血液型が不一致!

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容疑者の無実を訴えたノンフィクション作家・佐野眞一氏の『東電OL殺人事件』(新潮社)

 阪神淡路大震災から2年後の1997(平成9)年、タイ通貨暴落によるアジア通貨危機の余波は日本経済を翻弄した。株安、貸し渋り不況、銀行破綻、企業倒産に波及。先行きが見えない経済情勢のさなか、たまごっちやポケモンが空前の大ブームに。プリウスやスーパードライが登場し、小説『失楽園』、映画『タイタニック』、アニメ『もののけ姫』、安室奈美恵の「Can You Celebrate?」が大流行する。その陰で「透明な存在」を告白した14歳の少年の酒鬼薔薇事件、ペルー日本大使公邸人質事件、パパラッチが暗躍したダイアナ妃事故死など、ショッキングな事件が頻発。世相は揺れに揺れ、目に見えない不安や深い恐怖に囚われていた。

 そんな浮き足立った世相を嗤うかのように、東京都渋谷区円山町のアパート「喜寿荘」101号室で酸鼻な怪事件が起きる。3月19日午後5時頃、アパートのオーナーでネパール料理店「カンティプール」の店長Aは、女性(39歳)の絞殺死体を発見。死亡推定日時は、3月8日深夜から翌9日未明。死後約10日が経過していた。

昼は大企業のエリート幹部社員、夜は街娼!

 事件発生後、捜査は難航。だが、衝撃的な事実が次々と明るみに出る。

 被害者の渡邉泰子さんは、東京電力東京本店企画部調査課に勤務するエリート幹部社員だった。慶應義塾大学経済学部を卒業後、初の女性総合職として東京電力に入社し、原発のリスクを推論する調査報告書を作成していた。

 被害者の父は、東京電力工務部副部長で、明るい未来のエネルギーとして脚光を浴びていた原発事業にも関わっていた。だが、東京都内に高圧の地中送電線を引く原発の危険性を直感して反原発に転じると、副部長の役職を降格され、1年後にガンで逝去する。被害者の直属の上司は、取締役企画部長の勝俣恒久氏(元・東京電力会長)だった。

 捜査が進むにつれて、「被害者は、退勤後、円山町付近の路上で売春!」というショッキングなニュースが巷に流れる。高学歴、高収入のエリート社員の売春報道は、日に日に加熱。大衆は耳目を疑うが、被害者や家族のプライバシーは、白日の下に曝された。

 ノンフィクション作家・佐野眞一氏は著書『東電OL殺人事件』で、被害者は職場の人間関係や原発問題によるストレスを抱え、自律心を喪失していたと指摘。円山町近隣のコンビニ店員は、被害者がコンニャクなどの低カロリーのおでんをよく購入していたと証言。また、被害者の売春客の一人だったネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリ容疑者は、「骨と皮だけのような肉体だった」と証言。被害者は、ストレスが原因の拒食症だった可能性もある。

再審請求審で行った新たなDNA鑑定では容疑者と不一致

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