実は今、日本では熱量が足りているのに栄養が足りない「新型栄養失調」が問題になっており、特にタンパク質が不足気味といわれる。筋肉や血液、臓器など、カラダの材料となるタンパク質が足りないと、免疫力の低下、疲れやすい、肌が荒れる、髪が抜ける、うつになるなど、さまざまな不調をきたす。
一説によると、日本人は1日平均20gほどのタンパク質が足りていないという。一方、卵1個から摂れるタンパク質は約7g。1日3個食べれば、その不足分を無理なく補うことができる。
卵は調理が簡単で手軽に食べられるうえ、肉よりも消化吸収が良く、身体に負担をかけずにタンパク質を摂取できるのが利点だ。
これまで3000人を超える肥満や生活習慣病の患者を治療してきた、こくらクリニック(沖縄県)の渡辺信幸院長も「1日3個の卵」を推奨する医師のひとり。勧めるのは、肉(Meat)・卵(Egg)・チーズ(Cheese)を積極的に食べる「MEC食」。基本は1日に肉200g、卵3個、チーズ120gを食べることだ。
「穀物・野菜中心の食事では必須栄養素が足りず、人体はガス欠状態になって傷みます。しかし、高タンパク質・高脂質のMEC食は、血液や筋肉、骨の材料として十分。その働きを助けるビタミンやミネラルも豊富です」(渡辺医師)。
1日3個でコレステロール、インスリン値が改善
「1日3個の卵」は、メタボリックシンドロームの人にも良い影響を与えるという研究もある。米・コネティカット大学の研究グループが、2013年にアメリカの医学誌に発表したものだ。
実験ではメタボの中高年男女を2グループに分け、12週間にわたって糖質制限食を続けながら、①毎日3個の全卵、②全卵3個に相当する卵の代替品のいずれかを食べてもらった。その結果、全卵を食べていたグループは代用品のグループより、「コレステロール(HDL)」と「コレステロール(LDL)」値のバランスが改善した。さらに、糖尿病の原因となるインスリン抵抗性も改善されたという。
これまで"健康のため"に卵を控えてきた人は、大手を振って積極的に食べられる。特に鶏卵は、物価が上がっても値段の横ばいを維持している「物価の優等生」。"コストパフォーマンス"に優れた栄養食であることは違いない。
(文=編集部)