連載「死の真実が“生”を処方する」第17回

コップ1杯のシャンプーで死ぬことも~あなたの身近にある“毒”の危険

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身近な家庭用品が命を奪う毒に(shutterstock.com)

 我々の身近にあるものの中に、生命に危険を及ぼす可能性のある物質は、少なくありません。本来の使用目的に従っていれば、その危険性はありませんが、子どもや高齢者が誤って口にすれば……。

 日常生活で何げなく使うものが、危険な場合があります。たとえばピーナツ。乳幼児が誤嚥すると気管や気管支に入って肺炎になるばかりか、最悪の場合、命の危険にさらされる可能性もあります。また、ボタン型電池を飲み込んでしまうと、体内で毒性物質が出る危険性があり、緊急に取り出さなければなりません。さらには、食器や衣類の洗剤も、誤って飲むと死亡する危険性があります。

 今回はこのような「身近にある危険な毒」についてお話しします。

農薬や殺虫剤、洗剤に含まれる界面活性剤の恐怖

 農薬や殺虫剤、洗剤などの中には、界面活性剤が含まれているものがあります。界面活性剤は、水に溶けたときの性質変化で、陽イオン型、陰イオン型、非イオン型の3種に大別されます。

 陽イオン型の界面活性剤は、殺菌、消毒、防カビ剤などに用いられます。この物質にはタンパク質を固まらせる作用があるため、もし誤って飲んでしまうと、囗や食道、胃の粘膜を腐食し、潰瘍などを生じさせます。さらに、この物質が血液中に吸収されると、高い確率で死に至ります。

 非イオン型や陰イオン型の界面活性剤は、直接の粘膜刺激が少ないので、低濃度で何かに混入されても気づかないことがあります。もちろん、高濃度、あるいは多量に服用すれば、嘔気します。界面活性剤は水に溶けやすいため、胃腸から血液中に吸収され、心臓の働きや呼吸に影響を及ぼし、死に至ることがあります。

 界面活性剤を飲んで死亡するケースは、ほとんどが自殺。ある高齢者は、家庭用の液体洗剤を200ml飲んで死亡しました。また、シャンプーを150ml飲んだ人が死亡した事例もあります。コップ1杯の量を飲んだだけでも死亡するのですから恐ろしい。

 界面活性剤の吸収は早く、服用したことが分かったら、すぐに救急車で医療機関に搬送することが重要です。意識がはっきりしている場合には、多量の牛乳を飲んで希釈するのも応急措置の一つです。牛乳はタンパク質を多く含むので、陽イオン型の界面活性剤の拮抗薬(別の物質の作用を妨害する物質)としての効果もあります。

現実にあった中毒事故死例

がんになってもあきらめない妊活・卵巣凍結 費用は卵巣摘出に約60万円、保管は年間10万円
インタビュー「がんでも妊娠をあきらめない・卵巣凍結」後編・京野廣一医師

がん患者への抗がん剤による化学療法は妊孕性(妊娠のしやすさ)を低下させる。がんにより妊娠が難しくなる患者を支援するため、2016年4月に「医療法人社団レディースクリニック京野」が、治療前に卵巣を凍結して保存しておく「HOPE(日本卵巣組織凍結保存センター)」を設立すると発表した――。医療法人社団レディースクリニック京野理事長の京野廣一医師に卵巣凍結の仕組みについて訊いた。
前編『「がん」になっても妊娠・出産をあきらめたくない女性のための「卵巣凍結」とは?』

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

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小笠原クリニック札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認…

横山隆

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授…

西郷和真