満腹感がない「ジューシング」はダイエットに不向き?(depositphotos.com)
バターコーヒー、チアシード、糖質制限、腸活ダイエット……。「健康になれる」「美しく痩せられる」とされる食事法は、流行のファッションのように次々と目新しいものが登場し、メディアを賑わせる。
日本のみならず世界で流行するダイエットの多くは、アメリカが発信地だ。特に、女優やモデルといったヘルスコンシャスな人々が多く在住する、西海岸の影響が強い。
いつも理想的なスタイルを維持しているセレブやハリウッドスターが「○○で痩せた」といえば、すぐに飛びつきたくなるのがダイエッターの心理というものだ。
しかし、こうした食のブームに科学的なエビデンスがあるかというと、その多くが「NO」と言わざるをえない。それどころか、逆に健康に害をもたらす可能性もあるという。
そう警鐘を鳴らす論文が、先月2月27日に『Journal of the American College of Cardiology』(オンライン版)に掲載された。
論文を発表したのは、米国心臓病学会(ACC)生活習慣・栄養作業部会のAndrew Freeman氏らの研究グループ。最新の医学的根拠に基づいた「健康的な食事パターン」全般と、現在アメリカで流行している特定の健康食に関するエビデンスをレビューした。
その結果、次のような結論が得られたという――。
「ジューシング」は「置き換えダイエット」として疑問
たとえば、ここ数年流行している「ジューシング」は、一定の期間野菜や果物のジュースだけを飲んだり、食事に置き換えたりするプログラムだ。ダイエットや体調不良の改善を目的とする。食材を低温低速で圧搾することから、ビタミンなどの成分が壊れにくいといわれている。
しかし、Freeman氏らによると、この方法はビタミンやミネラルなど一部の栄養素の吸収率を向上させるものの、丸ごとの野菜や果物に含まれる繊維質や栄養素は除去されてしまう。
また、ジュースはカロリーが濃縮されているのに、飲んでもさほど満腹感がない。ゆえに「置き換えダイエット」として続けやすいかどうかも疑問だ。
高用量の「抗酸化物質サプリメント」を飲むことも、健康法のひとつといわれている。しかし今回の論文によれば、「単に抗酸化物質を豊富に含む食品を食べること以上の効果は得られない」。
それどころか、通常の食事では摂れないほど大量のビタミンをサプリメントで摂取するのは、むしろ身体にとって危険となることさえある。