"コスパ"に優れた栄養食「タマゴ」
ご長寿世界1位、2位の女性(115歳)は卵好き。毎日好んで食べ続けていた――。先月、AP通信が、長寿の食生活の秘訣をそう伝えた。
アメリカ人のスザンナ・ジョーンズさん、イタリア人のエマ・モラノさんは、世界にふたりしかいない1800年代生まれの115歳。ジョーンズさんは、朝食にベーコンとスクランブルエッグを欠かさない。幼少時に病弱で医師から卵を勧められたモラノさんは、毎日2~3個の生卵をずっと食べ続けてきた。この年齢で薬の服用も少なく、かかりつけ医は「驚異の人だ」と賞賛しているという。
最近までコレステロール含有量が高く、動脈硬化の引き金になるといわれ、「1日1個まで」と制限されてきた卵。だが、今年になってその常識が覆されている。むしろ、この女性たちのように元気で長生きしたいなら、卵は「1日3個は食べた方がいい」というのだ。
卵でコレステロール値は上がらない
きっかけは、食とコレステロールに対する認識が激変する発表だ。今年2月、アメリカの農務省が「コレステロールは過剰摂取を心配する栄養素ではない」と報告。続いて日本の厚生労働省も、コレステロールの1日の摂取基準値を撤廃。5月には日本動脈硬化学会も「健常者は食事で血中コレステロール値が変わることはない」と声明を発表した。
つまり、卵を食べても血中コレステロール値は大きく変わらないということ。これにより「コレステロール値が高い」という唯一の懸念を払拭し、「完全栄養食品」とうたわれる卵の健康効果が、がぜん注目を浴びることになったのだ。
卵は、ビタミンCと食物繊維以外の身体が必要とする栄養素をほぼすべて含んでいる。特に、他の食品から摂りにくいビタミンDや、鉄・亜鉛などのミネラル、体内では合成できない9種類の必須アミノ酸が豊富でバランスもよい。
最近注目されているのは、卵黄に含まれる抗酸化物質のレシチン。脳の神経細胞の機能を活性化する効果があり、記憶力や集中力を高め、認知症やアルツハイマーの予防に役立つと期待されている。