先日、「第10回メディカルフィットネスフォーラム」(主催・日本メディカルフィットネス研究会)が開催され、私もそのなかのシンポジウム「肥満者を対象とした運動プログラムとこれから」に参加した。
このシンポジウムでは、「筋トレと有酸素運動だけでは、短期間で劇的に脂肪は落ちない」ことが確認された。また、筋トレと有酸素運動の運動効果についても、ダイエットの有意差はさほど見られないと示された。
結論としては、運動効果を高めるには「運動の習慣化」が何よりも大事で、そのためにはフィットネスの楽しさを知り、運動の大切さを感じてもらうことだった。
ライザップが行う、過度の食事制限についても目を向けてみよう。いくらビタミンやミネラルをサプリメントで摂取しても、カラダをつくる源は日々の食事だ。一度獲得した理想のスタイルも、それを維持するには食事制限を続けなければならない。
太古の昔から、食糧不足が人々の諍いを引き起こしてきたのは、周知の事実。過ぎた食事制限は、心理的なイライラやストレスを高める。慣れない初心者は、なおさらそうだろう。そこには、顧客とスタッフとの間に信頼関係が築かれていなければ成功しない。
顧客にしてみれば「高額の費用を払っている」から、それに見合った丁寧な指導、的確なアドバイス、専門性の高さを求めるのは当然だ。それに見合うだけの質を担保できなかったことが、さまざまなトラブルにつながったのかもしれない。
そして、短期間で結果を出そうとするあまり、個別性の配慮に欠いたトレーニングへと偏重したのだろうか。「結果にコミット」は「結果"だけ"にコミット」に陥っていなかっただろうか。
「結果にコミット」するだけでは、そもそも運動の楽しさを習慣化できない。大きな負担を継続させたら、ストレスや反動、トラブル、リバウンドにつながることは、運動指導者であれば基礎知識としてわかっているはず。
私の運営する施設にも、ライザップ体験者がいる。彼はすぐに、「トレーニングではなく食事制限の効果で痩せた」ことに気づいたと言う。今では、何度もリバウンドを繰り返すという失敗の後、「運動の習慣化」を目的に楽しみながら通っている。フィットネスの本質は、「習慣」「継続」に尽きると思う。