好きなものを食べることができるダイエット方法は、減量効果が低い!

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好きなものを食べるダイエットは痩せない!?shutterstock.com

 自身の嗜好にあわせて食事内容を選択できるダイエット法では、効果的な減量につながらない可能性が報告された。自分で食事内容を選択することで、減量へのモチベーションが向上するともいわれるが、それが裏目に出て、体重減少幅が小さくなることが今回の新しい研究で示唆された。

「Annals of Internal Medicine」6月16日号に掲載されたこの研究では、BMI 30以上の肥満者207人を対象に、低炭水化物ダイエットまたは低脂肪ダイエットの2つのプランのうち1つを選ぶことができる群と、どちらかの食事内容に事前に決められている群の2群にランダムに割り付け、48週間観察を行った。両群ともグループおよび電話によるカウンセリングを受けた。

 研究者らは、当初、好きな食べ物を含む食事内容を選択できる群は、減量プランをよく守り、選択できない群よりも体重減少幅が大きいとの仮説を立てていた。しかし、48週間後の平均減量幅は、選択が可能な群で5.7kgだったのに対し、選択できない群では6.7kgと、選択可能な群のほうで体重減少幅がやや小さいことがわかった。なお、選択可能な群では、12週間後にもう一方のプランに切り替えることが許可されたが、申し出る人はほとんどいなかったという。

もっとも大切なのは代謝・遺伝子プロファイル

 食事内容が選択できる減量法は長期的にみると有効ではないのだろうか――。この点について、筆頭著者である米デューク大学プライマリケア健康サービス研究センター(ノースカロライナ州)のWilliam Yancy Jr.氏は「生活習慣の修正によって減量効果を上げたい場合には、嗜好に応じた食事内容の選択は好ましくないようだ」と述べ、他の選択肢として、新しい食べ物に挑戦することが最良の方法かもしれないと付け加えている。

 一方で、米ノースショアLIJショセット病院(ニューヨーク州)体重管理センターのChristine Santori 氏は、本研究には参加しない立場から、「食事の嗜好を取り入れることは、アドヒアランスを長期にわたって向上させることになり、減量の維持につながる」との見解を述べている。つまり、食事内容を選択できることは、減量のモチベーションを高める可能性があると指摘している。ちなみに、アドヒアランスとは患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けることをいう。
 
 ただし同氏は、高カロリーの食事プランを選択すると、摂食する分量の管理が難しく、結果的に体重減少幅が小さくなる可能性があるとも警告。「個人的には、代謝プロファイルに従った食事プランを選択し、本人とも相談のうえで個人の好みの食事を取り入れるのがベストと考える」と強調している。

 Yancy氏らもこれに同意見で、今後は、対象者の代謝・遺伝子プロファイルを用いて、個々人に最適な食事を選ぶことを注視すべきであり、たとえば、インスリン抵抗性や低HDLコレステロール、高トリグリセリドが認められる人では、低炭水化物ダイエットで効果が得られるかもしれないと述べている。

 さらに、「遺伝子プロファイルについては、肥満および糖尿病リスクを上昇する遺伝子変異が多く知られている。特定の遺伝子変異があると特定の食事内容によく応答する可能性が考えられる」と付け加えている。

"好きなものをいくら食べても大丈夫なダイエット"に踊らされないようにご用心を。
(文=編集部)

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