病院着前に20%以上が死亡! 芸能人やミュージシャンが次々に発症する大動脈解離とは?

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大木凡人さんも今年1月に大動脈解離を発症(オフィシャルブログより)

 ロックバンド「ムーンライダーズ」のメンバーで音楽家の武川雅寛さん(64)が、6月18日、体調不良を訴え急性大動脈解離の緊急手術を受けたことが、同バンドのオフィシャルFacebookで発表された。関係者によると「現在も集中治療室で、ご家族、医療者の皆さまに見守られ、闘病中です」とのこと。

 同じく6月12日には、80年代に一世を風靡したバンド「C-C-B」の渡辺英樹さん(55)も、大動脈解離で緊急入院したと報道されている。さらには、タレントの大木凡人さん(69)も今年1月に同病を発症していたことが明らかに。幸いなことに、それぞれ一命をとりとめたが、2013年12月30日に急逝したミュージシャンの大瀧詠一さん(享年65)は、解離性大動脈瘤と呼ばれる同様の病に襲われ帰らぬ人となった......。

 最近、立て続けに芸能ニュースで耳にする大動脈解離。これは心臓から全身に血液を運ぶ大動脈の内壁に亀裂(解離)が入り、内膜と外膜に分離される病気だ。大木さんは、心臓のすぐ左にある大動脈が約60センチも破れていたという。大動脈は人間の血管の中で最も太く、心臓から出てすぐの胸部では内径が約25~30mmもある。その大動脈が破れてしまうのだから、生死にかかわる重篤な疾患であることががわかるだろう。

 原因は主に、動脈硬化(動脈の内壁が肥厚し硬化した状態)により引き起こされる。そして、解離が進むと亀裂が血管の外まで至り、大出血を起こす。いったん発症すると命にかかわることが多く、一刻も早い治療が求められる。しかも、新たな箇所に解離が発生するなど合併症も多く、手術が成功しても血圧を低く保つ薬物療法の継続が必要になる。

 1981年4月、俳優の石原裕次郎も大瀧さんと同様、解離性大動脈瘤を発症し、奇跡的な回復を遂げた。しかし、その手術は、生還率3%といわれるほど難しいものだった。

動脈硬化は時間をかけて進行する

 大動脈解離は、病院に着く前に20%以上が亡くなるといわれる。急性心筋梗塞と並ぶ緊急を要する循環器の疾患で、予告もなく、突然、発症するケースが多い。「C-C-B」の渡辺さんも入院の直前までツアーのリハーサルに励んでいる様子をブログで公開しており、突然、病に襲われたことが推測される。大瀧さんも自宅で家族と夕食後のデザートに林檎を食べている時に倒れ、当初、家族は「林檎を食べていてのどに詰まらせた」と説明していたというが、救急隊がかけつけた時は既に心肺停止状態であり、病院に搬送後に死亡が確認された。

 その一方、大木さんの場合は、胸が苦しくなることが1週間ほど続いた後、症状が急変。胸全体が張り裂けそうなすさまじい痛みが襲ったという。痛みは気絶しそうになるほど激しく、それを紛らわせるために「なんだ! クソ! コノヤロー!」などと大声で絶叫しながら119番に電話。スポーツ紙の取材に「学生時代は空手をやっていたので、痛いことには慣れていたつもりだが、こんな凄いのは初めてだった」と答えている。

 大動脈解離は、発症した部位によって対処方法が異なる。心臓に近い上行大動脈に解離がある場合は、心臓の周囲に出血して死亡する危険性が高いため、緊急手術が必要だ。解離が上行大動脈にない場合は緊急性は低いが、血圧を下げる内科的治療で対処できる可能性がある。

 予想だにしなかった激烈な痛みが胸部や腹部、腰に走り、瞬く間に命を奪うこともある大動脈解離の症状を聞くにつれ、その恐ろしさが身にしみてくる。大動脈解離は高血圧の人に起こりやすいといわれている。また、遺伝的要因もあり、近親者に罹患者がいる人も要注意だ。

 では、その具体的な予防法は?

 主原因である動脈硬化そのものを防ぐこと、予防策はこれしかない。動脈硬化は、大動脈解離や解離性大動脈瘤だけでなく、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症など、さまざまな病の原因となる。発症するのは50代以降に多いが、動脈硬化は時間をかけて進行するため、若いころから適度な運動や動物性脂肪の取りすぎに注意するなど、正しい生活習慣を心がけることが肝心だ。

 先にも記したように、大動脈解離は手術の難しさもさることながら、合併症の危険もあり、術後の治療も重要になる。武川さん、渡辺さんの順調な回復を祈りたい。
(文=編集部)

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