「腸内細菌」が子どもを"ポジティブ"に!? 健康だけでなく性格にまで影響するのはなぜ?

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腸内細菌の作用で子どもの性格がポジティブで積極的に!? 

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 「腸内細菌」と聞くと、どんなイメージが浮かぶだろうか。有名どころではビフィズス菌や乳酸菌など、健康にさまざまな影響を与える無数の微生物。お通じにはもちろんのこと、美肌やダイエットにも深く関わっていることは周知の通り。

 ところで、腸内細菌の総量は大人では約1.5㎏にもなり、限りなく「身体の一部」であると言っていい存在であることはご存じだろうか。しかも、その種類と多様性は、体質だけでなく性格までも左右するらしい。

腸内細菌とストレスは影響し合う

 

 今年3月、アメリカの医学誌「Brain, Behavior and Immunity」に掲載されたオハイオ州立大学の研究によると、幼児の性格に腸内細菌が影響している可能性があるという。

 この研究は、生後18〜27カ月の幼児77人の便に含まれる腸内細菌の種類と構成比を調べ、さらに幼児たちの母親に健康状態や性格についてのアンケートを実施し、結果を解析したもの。

 その結果、とりわけ男児では、ある特定の腸内細菌の豊かさと多様性が、「ポジティブ」「好奇心が旺盛」「社交的」「衝動的」といった性格と関連している傾向があったという。母乳育児かどうかや、食事内容、出産方法など、腸内細菌に影響する要因を考慮しても、この結果の統計学的な有意性は失われなかった。

 実は、人がストレスを感じたときに分泌される「ストレスホルモン」と腸内細菌が相互に作用することは、すでに明らかになっている。今回の研究結果は、その知見を裏付けるものだ。

 たとえば、社交的な性格の子は、内気な子に比べてストレスホルモンの分泌が少ないため、有用な腸内細菌への影響が少ないのかもしれない。逆に、腸内細菌にストレスホルモンの量を調整する力があり、その量が多い子は、問題に直面してもストレスを感じにくい(ポジティブな性格になる)可能性もある。

食事で性格を改善できる可能性

 

 約10年前、現九州大学教授の須藤信行氏らの研究グループが、無菌状態のマウスをチューブに閉じ込めると、ストレスホルモンが過剰に生成されることを発見。さらに、ビフィズス菌の一種をあらかじめ投与しておくと、ストレスを防げることも明らかにした。

 腸内細菌は、実際の行動にまで影響を与えることもマウス実験では分かっている。細菌を全く持たないように繁殖させたマウスは、通常の腸内細菌を持つマウスと比べて非社会的な行動が多くなり、孤立しがちになるという。

 腸内細菌がストレス反応に影響を及ぼす可能性が実証された研究は、プロバイオティクス治療(腸内細菌を整えることによる治療法)の開発につながった。しかし、性格や行動に関係するものについては、今のところすべてマウスを使った研究であり、人への応用はこれからの課題だ。
 
 オハイオ州立大学の研究者らは「腸内細菌の観点から子どもの気性や態度の改善を図れないか、今後も研究を続ける」と述べている。また、ストレスホルモンは、肥満や喘息、アレルギーなどの慢性疾患を引き起こすものと同じであることから、腸内細菌の解析によってそれらの病気を小さいうちから予防できるかもしれないと期待している。
 
 腸内細菌の構成は食べ物で変えられるという報告もある。食生活でお腹の環境を整え、問題行動を改善したり、慢性疾患の予防ができたりするようになればとても画期的だ。ぜひ今後の研究に期待したい。
(文=編集部)

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