連載第2回 眼病平癒のエビデンス

よく見えるメガネが良いとは限らない! 長時間コンピュータを使い続けた後の目の疲れは「過矯正」が原因!?

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そのメガネ、度数が強すぎませんか?shutterstock.com

 仕事で長時間コンピュータを使用した後に、視力が落ちたり、目や頭が痛くなったり、肩が凝ったりすることはありませんか? 長時間コンピュータを使用しない人でも、最近はスマートフォンやタブレットなどを使用する機会が増えているので、同様の症状が生じることがあります。

 これは「after 5 blur(仕事帰りの視力低下)」と言いますが、このような症状の人の中には、コンタクトレンズやメガネの度が強すぎる人が大勢見受けられます。一説には、コンタクトレンズやメガネを装用している人の3分の1の人は、度が強すぎるコンタクトレンズやメガネを使用している、つまり過矯正だと言われています。

 コンピュータが見づらくなったと感じると、視力が低下した、あるいは、近視が進んだと思いがち。そのため、コンタクトレンズ店やメガネ店で度数を強くしてもらった......。実は、ここに落とし穴があるのです。

適切な矯正の程度は、それぞれ異なる

 コンタクトレンズやメガネの強さの単位は、ジオプター(diopter:D)と言います。近視は−(マイナス)、遠視は+(プラス)で表されます。数字が大きいほど度が強くなり、0〜−3.00D未満は軽度近視、−3.00D〜−6.00D未満は中等度近視、−6.00D以上は強度近視となります。本来は−5.00Dの近視の人が−6.00Dのコンタクトレンズやメガネをかけている場合は、過矯正となります。

 また、人間の目は1点だけに焦点が合うのではなく、遠くから近くまでのある程度の距離に焦点が合います。これは、目の中の水晶体というレンズが厚みを変えることで、焦点の位置を変える働きを持っているためです。この働きを調節力と言います。

 視力1.5に矯正されたコンタクトレンズやメガネをかけている人が目の前のコンピュータを見るためには、遠くにピントが合っている状態から、調節力を強く働かせて目の前のコンピュータを見なければなりません。この状態が続くと目は疲れてしまいます。この症状は、若い人を含め年代に関係なく、特にコンピュータや手元の細かい作業を長時間される方に多く見られます。

 もし−5.00Dの人が−4.75Dのコンタクトレンズやメガネをしていても夕方に眼の疲れを感じるなら、それは過矯正の状態です。適切な矯正の程度は、長時間コンピュータを使用するとか、手元の細かい作業をするとか、その人の仕事や生活環境によって変わってくるものなのです。

 最近、経験した例では、30代の歯科の先生が、午後になると見づらくなり診療ができないと、コンタクトレンズの近視の度数をどんどん上げて、ついには強い眼精疲労を訴えて受診されました。検査してみると、本来は−3.00Dの近視でしたが、−5.00Dのコンタクトレンズを使っていました。過矯正について説明し、適切な度数まで近視を落としてコンタクトレンズを処方したら、眼精疲労は治まり、午後でも楽に歯の治療ができるようになりました。

コンタクトレンズやメガネを使い分ける

高橋現一郎(たかはし・げんいちろう)

東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授。1986年、東京慈恵会医科大学卒業。98年、東京慈恵会医科大学眼科学教室講師、2002年、Discoveries in sight laboratory, Devers eye institute(米国)留学、2006年、東京慈恵会医科大学附属青戸病院眼科診療部長、東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授、2012年より東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科診療部長。日本眼科学会専門医・指導医、東京緑内障セミナー幹事、国際視野学会会員。厚労省「重篤副作用疾患別対応マニュアル作成委員会」委員、日本眼科手術学会理事、日本緑内障学会評議員、日本神経眼科学会評議員などを歴任。

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