効果抜群のドライアイ治療薬は、胃薬の成分から作られた

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 大気が乾燥する冬、ドライアイの深刻化に不安をつのらせていないだろうか。そこで画期的だと注目を集め、臨床での評判が高くなっているのが日本発、世界初の二つの目薬を紹介する。

 ドライアイの治療法として一般的なのは、乾燥を防ぐための目薬。代表的な目薬といえば、人工涙液やヒアルロン酸を含む点眼薬で、これで涙を補って保ち、涙の量を調整して治療する。だがこの方法は、一日の点眼回数も多く手間がかかることや、根本的な治療ではなく対処療法なので、決定打と言える治療方法ではなかった。

 目薬のほかでは、涙点プラグと呼ばれる、涙点をふさぐ治療法がある。これは、点眼薬でなかなか効果が見られない場合に行われる治療法で、涙点にシリコン製プラグを挿入し、目の中に涙を貯めておけるようにするための処置だ。だが、プラグが抜けてしまったり、涙と一緒に老廃物を溜め込んだり、肉芽腫を形成する場合もあったりと難点も多い。

 そこでもうひとつのドライアイへのアプローチとして、涙の成分を整えたり、傷を修復する方法として、日本の製薬会社が開発した二つの新たな点眼薬が開発され、評判を呼んでいる。
 

目の粘膜の潤いを取り戻す

 涙の分泌は目を保護する役割を担っているが、「粘膜」も実は重要な働きをしている。粘膜は涙を均一に整えたり、刺激から目を守ることが役割で、この粘膜が荒れた状態になることで目の表面がでこぼこになり、涙を一定に保てなくなったり、光を正しくとりこめなくなったりして、ゴロゴロした異物感やかすみ目などのドライアイの症状が出るようになってしまう。
 
 涙と粘膜に働くように開発された新しい目薬が、参天製薬から発売された「ジアクス点眼液3%」と、大塚製薬から発売された「ムコスタ点眼液UD2%」だ。

 「ジアクス点眼液3%」は、世界初のP2Y2受動態作動点眼剤。点眼液の成分であるジクアホソルナトリウムが、結膜上皮と杯細胞膜上のP2Y2受容体に作用し、細胞内のカルシウム濃度を上昇させる。それにより、水分やムチンという粘膜の主成分の分泌をを促進させ、涙の量も補い、さらに粘膜を整えていくので、傷つきやすくなった目に効果的だ。防腐剤入りのため複数回使用できる容器に入っていて、その容器のデザインも使いやすく出来ているので、力が弱くなっている高齢者にも扱いやすい薬になっている。

 一方、大塚製薬の「ムコスタ点眼液UD2%」は、もともとが同社のヒット薬でもある胃薬ムコスタからの発展型だ。ムコスタは軽い胃痛や、胃を痛めるような強めの薬を飲むときに一緒に処方されるので非常にポピュラーだ。その成分であるレパミドが粘膜を修復する効果がとても高いので、点眼液として使えないかと開発されたもの。

 レパミドは結膜の杯細胞を増加させる作用がある。この杯細胞は粘液分泌細胞で、やはりムチンの分泌を促す。結果として涙の質と量が改善され粘膜の親水性が高まる。つまり潤いを取り戻すのだ。

 ムコスタ点眼液は粘膜の修復効果で定評があり、抗炎症効果などドライアイに限らずいくつかの目の症状に効くとあって、医師の間では評判が良いようだ。しかし、白濁した点眼液のせいで、薬をさしたあと、しばらく目がかすむ、効果を実感するまで少しの時間を要する、防腐剤を使っていないため1回使いきりの容器で、ねじ切る小さなふたの部分が扱いにくい、などという声もある。点眼後、苦く感じられるという。苦い胃薬の良薬は、やはり点眼薬としても苦いらしい。

 しかし、この薬を推奨する何人かの医師は、「クレームも多く処方しづらい薬ではあるのだが、着実に良い効果の見られることの多い薬なので、患者さんにぜひとも使ってみて欲しい」と口を揃える。

(文=編集部)

アジア圏での“独特の美”を追求~世界トップクラスの症例数を誇る日本の美容医療
インタビュー「ここから変わる! 美容外科の世界~グローバル化する日本の美容医療」第1回 聖心美容クリニック 鎌倉達郎 統括院長

日本の美容医療は、果たして世界のトップレベルにあるのか――。「第104回日本美容外科学会(JSAS)」の会長を務めた、鎌倉達郎医師に、日本の美容医療の現状と世界の趨勢について聞いた。