発熱のつらさををどうしたら軽減できるのか
2.発熱のメカニズム:手足が冷たい時が辛い時
発熱初期には、寒気が続いて辛い時間が最初に来ます。この時には、身体のだるさも強くなります。まだ話の出来ない年齢の子だと、「抱っこ、抱っこ!」になるか、ぐずって泣き止まない状態になるでしょう。大人でいうと、寒気がして身体がだるくて、布団に入ってもつま先が冷たくて眠れたものではなく、ガタガタ震える時が発熱初期にあたります。しかし、やがて眠りが訪れ、目がさめると汗ばんでおり、一所懸命くるまっていたはずの掛け布団は蹴飛ばしていませんか。そして、ちょっと身体が楽になったかな?と感じるようになります。
発熱状態に慣れて来るのです。子どもでいうと、手足が冷たいうちは、まだ発熱の始まりの時期なのです。その時は寒気を感じてぐずります。やがてぐずっていた子達が、だんだんとウツラウツラしてきて眠り始める時間が、まさに熱に慣れて来た時間なのです。治療の必要があってせっかく出す熱なので、身体はそれに慣れようとします。身体は合理的に出来ています。
このメカニズムを知っていれば、お子さんを上手に発熱させる事が出来ます。手足を触って冷たい感触があるうちは、寒気があって可愛そう。もし、本人が寒いのか暑いのか分かりにくい時には、自分の手のひら(大抵は、温かい)をお子さんのつま先に当ててみて下さい。もし、お子さんが足を押し付けて来るようなら、寒気があって不快なので、温かい手のひらの体温を求めているのです。だったら、毛布などで愛情一杯にくるんであげればいいのです。
「抱っこ、抱っこ!」で離れないのであれば、しばらくは抱っこしておいてあげましょう。熱が身体の隅々にまで伝わりきれば、やがて眠り出してくれます。そして、しばらくすると、布団にくるまっていたはずの我が子は、毛布を蹴っ飛ばしたり、布団から転がり出たりしています。こうなったら、「もう熱は伝わり切ったから、温めないで。」というサインなのです。涼しい格好にしてあげましょう。
「昔ながらの知恵」と称して、いつまでも毛布でぐるぐる巻きにしていると、熱がこもりすぎてしまい、脱水を起こしてしまいますので、注意して下さい。
発熱のときに逆効果になってしまう水分補給や熱冷ましシート
3.なぜ水分を飲んでくれないか?
育児書などで発熱の項目を見ると、「発熱した時には脱水に注意して下さい。」と書いてあることが多いようです。そこでママ、パパは、必死で水分を取らせようとします。しかし飲んでくれないのです、手足が冷たいうちは特に!です。
この理由も、前述の発熱のメカニズムを考えれば簡単です。体温を上げたくて必死な時に、水分を摂ってしまうと身体が内側から冷えてしまうからなのです。ただし、発熱初期に水分を摂らなくても、それで脱水になる事はないので、心配せずとも大丈夫です。
4.なぜ、熱冷まし用シートにぐずるか?
「ウチの子は、何度シートを貼っても嫌がってすぐに剥がしちゃうんです。」という悩みもよく聞きます。これも理由は簡単。「貼る時期が早すぎる。」のです。せっかく上げようとしている熱を、奪い取られないために、本能的に冷やされるのを避けるのです。ちなみに、冷却用シートは、どんなに良質なものでも数時間しか効果は持続しません。効果がなくなっても貼り続けていると熱をこもらせてしまい、不快感を増加させてしまうのです。
冷やすのにちょうどいい時期は、手足がすっかり温まってからです。それからであれば、余分な熱を取ってあげる事は、不快感を取る事にもなります。その場合、シートを貼るより、氷枕や冷却材で冷気を送り込んであげる方が効果的です。頭を冷やせれば最高なのですが、十分に温まっていても嫌がる子はいます。その場合には、子ども用のリュックに冷却材を入れて背負わせるという手があります。この戦略は、患者さんのママ達に教わったのですが、自分の子どもなどで試してみると非常に効果的でした。ママの知恵は強いのです。